⑬新たなスキル
窓のない廊下がゆっくりとしたカーブを描き始める。薄暗い灯りなのとカーブのせいで、人の視線はどうしてもその先、その先へと向かってしまう。認知の欲求に基づくものなのだが──
巧妙に隠されたそこに差し掛かったとき、視覚では全く気付けなかった。
通り過ぎようとしたとき、いきなりメリルのスキルがピコンピコンと鳴る。
えっ、と思い立ち止まると、ウィルフレッドと王子とソルが同じ表情になった。彼らもピコンしたに違いない。
ウィルがじっとメリルのほうを見て言う。
「メリル……なんかした?」
心当たりが全くないメリルが首を傾げる。
「なんだろ、分かんないや。それより、なんでわたしが原因って思ったの?」
「いや……」その先は、メリルにしか聞こえない声で──
「精霊がさ……"次のステップに進んだみたいね"……だって……」
「……王子、スキルがどうなったのか見てもらえませんか……?」
なぜか小声でお願いするメリル。薄暗いからといって、ヒソヒソ話す必要はないのだが。
「あ、ああ……」
メリルの顔が近くてうろたえる王子。自分のスキルもピコンピコンしたので気になっていた。
王子の左目が光り出し、目の中に魔法陣が浮かび上がる。
アンドリュー・エルドレッド・ラザナキア
┗【鑑定スキル】
├─【スキル鑑定 Lv9↑】(LvUP!)
├─【真名鑑定 Lv8】
├─【真贋鑑定 Lv6】
├─【種族鑑定 Lv5】
├─【性別鑑定 Lv5】
├─【感覚鋭敏 Lv3】
├─【強制採取 Lv3】
├─【毒耐性 Lv3】
├─【魔力感知 Lv1】 New!)
└─【古代生物の依代 Lv-】
ソロモン・ラファラ
┗【隠密スキル】
├─【暗殺技術 Lv10 MAX】
├─【毒無効 Lv-】
├─【麻痺無効 Lv-】
├─【混乱無効 Lv-】
├─【魅了無効 Lv-】
├─【強制睡眠無効 Lv-】
├─【身体強化 Lv10 MAX】
├─【影入 Lv10 MAX】
├─【言霊強化 Lv10 MAX】
├─【魔力感知 Lv1】(New!)
└─【永遠の忠誠 Lv-】
ウィルフレッド・アクアオッジ
┗【全精霊スキル】
├─【全精霊王の愛し子 Lv-】
├─【魔力感知 Lv1】(New!)
└─【双子の絆 Lv-】
メリル・アクアオッジ
┗【全魔法スキル】
├─【火魔法 Lv10 MAX】
├─【水魔法 Lv10 MAX】
├─【風魔法 LV10 MAX】
├─【土魔法 LV10 MAX】
├─【雷魔法 LV10 MAX】
├─【光魔法 LV10 MAX】
├─【闇魔法 Lv10 MAX】
├─【スキル付与 Lv1】(New!)
├─【魔力感知 Lv1】(New!)
└─【双子の絆 Lv-】
信じられないものを見たかのように、王子の目が見開かれる。
──何だこれは。全員に同じスキルが発現している。
新しいスキルがメリルだけに二つ……【スキル付与 Lv1】この効果で【魔力感知 Lv1】みんなに同じスキルが付与された!? いや。考察は後回しだ。
「みんなに【魔力感知】ってスキルが発現してる」
「「「えっ」」」
「いきなりこんなところで?」
ソルが立ち止まり、灯りを掲げる。
「メリルお嬢様……この独特な気配に覚えが……子供の頃に──」
「えっ?それって……」
"ここ、ここ~"
"ここに変な痕跡があるな"
精霊の声が聞こえるメリルとウィルフレッドが、辺りを見渡す…までもなく、全員の目が同じ場所に釘付けになった。
カーブしている廊下の外側はてっきり外だとばかり思っていて、気にも留めていなかったのだが──
壁と全く同色で意図的に隠されているのが分かる、ぼんやりと光る重厚な扉が、そこにはあった。




