空へ泳ぐ鯉
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
むかしむかし、遠い大陸の大きな川に、一匹の小さな鯉がいました
川は広く、流れは強く、上流には「竜門」と呼ばれる険しい滝がありました
魚たちはその滝を見上げて、口々に言いました
「あそこを登るなんて無理だ」
「流れに逆らえば、体が砕けてしまう」
「川は下るものだ。上るものではない」
けれど、小さな鯉だけは、じっと滝を見つめていました
水しぶきの向こうに、雲が見えました
雲の向こうに、空がありました
「あの向こうには、何があるのだろう」
ある日、年老いた亀が言いました
「昔から伝わる話がある。竜門を登りきった鯉は、竜になるという」
魚たちは笑いました
「鯉が竜になるものか」
「夢を見るにもほどがある」
けれど、小さな鯉の胸には、その言葉が灯のように残りました
竜になる
それは、昨日までの自分では届かなかった場所へ向かうこと
鯉は泳ぎ出しました
流れは冷たく、岩は鋭く、何度も体を打ちました
水に押し戻され、仲間の声が遠くなり、夜には星だけが道しるべでした
尾びれは傷つき、うろこは剥がれ、息は荒くなりました
それでも、やめませんでした
滝の音が近づくたび、鯉の心は不思議と静かになっていきました
「強いから登るのではない。登ろうとするから、強くなるのだ」
やがて、竜門の滝の下へたどり着きました
空から水が落ちてくる
まるで天が川を押し返しているようでした
鯉は深く沈み、力の限り跳ねました
一度、落ちました
二度、落ちました
三度、四度と、水に叩きつけられました
それでも、何度も跳びました
そして夜が明け、朝日が水しぶきを金色に染めたその時
鯉は最後の力で、空へ跳びました
水の壁を越えた瞬間、体が光に包まれました
小さなひれは翼のように広がり
細い体は雲をまとい
鯉は竜となって、空へ昇っていきました
それから長い時が流れ、物語は海を越え、ある島の国へ伝わりました
五月の風が吹くころ
ある家の庭で、小さな子どもが空を見上げていました
空には、大きな鯉が泳いでいます
「どうして、空に鯉がいるの?」
子どもがたずねると、そばにいた祖父が笑いました
「あれはな、昔の鯉の話なんだ」
「魚なのに、空に行ったの?」
「ああ。滝を登ってな。何度も落ちながら、それでもあきらめずに」
子どもは目を丸くしました
「痛くなかったのかな」
「痛かっただろうな。でもな――」
祖父は少し空を見て言いました
「強いから登ったんじゃない。登ろうとしたから、強くなったんだ」
子どもは、しばらく黙って鯉を見ていました
「じゃあ、みんな竜になるの?」
祖父は首を横に振りました
「いいや。ならなくてもいい」
「え?」
「川は一つじゃないからな」
風が吹き、鯉がゆっくり揺れました
「速く泳ぐやつもいれば、ゆっくり進むやつもいる
深いところを行くやつも、浅いところを行くやつもいる」
「……ぼくは?」
「お前は、お前の川を見つければいい」
そのとき、物干し竿の下でしぼんでいた小さな鯉のぼりが目に入りました
「この鯉、泳げてないよ」
子どもが言うと、祖父は笑いました
「まだ風を待ってるんだ」
しばらくして、春の終わりの風が吹きました
しぼんでいた鯉が、ふわりとふくらみました
尾が揺れ、体が伸び、空へ向かって泳ぎ出します
子どもは声を上げました
「泳いだ!」
祖父は静かにうなずきました
「ああ。ちゃんと泳ぐ。空だってな」
空には、いくつもの鯉が泳いでいました
高く
まっすぐに
それぞれの形で
子どもはその光景を、いつまでも見上げていました
風の中で、鯉たちは静かに揺れています
まるで、どこか遠い場所から、こう言っているようでした
――大丈夫…急がなくていい
君の前には、君だけの流れがある
そしていつか、その先で空を見上げたとき
きっと、自分の力でここまで来たのだと、分かる日が来る
空を泳ぐ鯉は、今日も風の中にいました




