第三十九話 異界公務員
【正式に異界物流局特級管理者へ任命します】
嫌すぎる。
俺は空中モニターを見上げた。
「拒否で」
すると即座に。
【却下】
早い。
異界少女が疲れた顔で言う。
「慢性的な人材不足なんです……」
どこの世界も大変だな。
その時、
都市上空で、
花火みたいな光が打ち上がった。
ドォン! ドォン!
周囲の異界人たちが歓声を上げる。
「災害獣討伐成功!」
「都市防衛達成!!」
「物流局万歳!!」
俺、
なんか祝われてる。
すると、
大量の異界人たちが、
こちらへ集まり始めた。
嫌な予感。
その中には、
工事職人っぽい人。
黒服の役人。
研究者。
軍人。
様々な種族までいた。
耳長。
角付き。
機械みたいな腕の人。
異世界感すごい。
だが、全員、なぜか目が輝いていた。
そして。
「この人が例の!?」
「不法投棄犯!!」
「災害処理の天才!!」
褒めてるのか分からない。
その時、スーツ姿の男が飛び出してきた。
「ぜひ我が局へ!!」
「いやです」
「住宅支給!!」
「帰ります」
「年収大幅アップ!!」
ちょっと揺れた。
王女が即座に腕を掴む。
「駄目です」
セレフィナまで真顔だった。
「帝国も同条件を提示できます」
国家スカウト始まった。
その時、
監視者が小さく呟く。
「人気人材」
嫌だなぁ。
すると異界少女が、
端末を見ながら青ざめる。
「……え?」
空気が変わる。
「どうした?」
少女は震える声で言った。
「砦喰らい回収で終わりじゃありません」
嫌な予感。
少女は空中画面を操作する。
すると、都市上空へ、巨大マップが映し出された。
そこには、無数の赤点。
兵士たちがざわつく。
「なんだこれ……」
少女が泣きそうな顔で言う。
「あなたが今まで収納した危険物反応です」
赤点が、めちゃくちゃ多い。
王女が引きつった顔になる。
「……全部?」
監視者が頷く。
「全部」
その瞬間。
マップ中央で、
一つの赤点が急激に拡大した。
警報音。
【警告】
【超高密度危険物反応】
【分類:未確認】
【推定危険度:測定不能】
全員が固まる。
俺は嫌な予感がした。
そして、少女が震える声で言う。
「これ……」
「位置が」
ゆっくりこちらを見る。
「レクトさんの収納空間“内部”です」




