第三十六話 異界都市
「ようこそ」
監視者の声が響く。
「貴様が壊しかけた世界へ」
やめてほしい。
俺たちは空間裂け目を越えた。
――瞬間、景色が変わる。
重力の感覚が妙だ。
空は黒い。
だが無数の光が浮かび、
夜空そのものが都市になったようだった。
兵士たちが絶句する。
「なんだここ……」
「異世界……」
目の前には巨大都市。
浮遊道路。
空中列車。
宙に浮かぶ建築物。
そして――
遥か遠方で暴れ回る、
超巨大化した砦喰らい。
ドゴォォォォン!!
ビルのような建物が吹き飛ぶ。
住民たちの悲鳴。
黒い空を走る警報光。
完全に大災害だった。
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すると、何かが飛んできた。
ギュン!!
俺の顔面へ一直線。
危ない。
反射的に収納しそうになったが、寸前で止める。
飛んできた少女を、なんとか受け止めた。
「ぐぇっ」
小柄。
銀髪。
黒い制服。
頭には変なゴーグル。
少女は涙目で俺を睨む。
「見つけたぁぁ!!」
「え?」
「不法投棄犯!!」
即バレした。
少女は俺の胸ぐらを掴む。
「どれだけ迷惑かけてると思ってるんですか!?」
「すみません……」
監視者が小さく紹介する。
「異界物流局職員」
公務員だった。
少女は怒りが止まらない。
「突然空から魔物!」
「燃える湖!」
「山!」
「巨大肉塊!」
「分類されてない荷物!」
全部俺だった。
その時、遠方で砦喰らいが咆哮する。
グォォォォォォッ!!
都市が揺れる。
少女の顔色が変わる。
「まずい!」
空を見る。
黒い戦闘機のようなものが砦喰らいへ攻撃している。
だが――効いていない。
砦喰らいは異界魔力でさらに巨大化していた。
ビルよりデカい。
王女が青ざめる。
「……あれを倒すんですか?」
監視者が即答する。
「回収対象」
物扱いだった。
少女が俺を睨む。
「責任取ってください!!」
「はい……」
「あと」
まだあるのか。
少女は真顔で告げた。
「あなた宛の損害賠償請求、現在三万七千件あります」
終わった。




