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パーティをクビになった荷運び、実はアイテムボックス容量が無限だった ~王国軍の補給を一人で支えています~  作者: 水原伊織


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第三十一話 世界を支える荷運び

「世界を支えろ」


嫌すぎる。


砦内が静まり返った。


兵士たちも、

王女も、

セレフィナも。


全員が、黒い巨人を見上げている。


そして――

なぜか俺が指名されている。


「いや無理だろ」


即答した。


黒い巨人が、ゆっくり瞬きをする。


「拒否?」


「当たり前だ」


「……」


黙るな。空気が悪い。


その時、セレフィナが慌てて前へ出た。


「お待ちください、“監視者”」


監視者。

そう呼ぶらしい。


セレフィナは真剣な顔で問う。


「世界崩壊とは、具体的に何を指しますか?」


重要な質問だ。


監視者は静かに答える。


「境界破断」

「異界侵食」

「魔力暴走」

「空間崩落」


難しい。

兵士たちも理解してない顔をしている。


監視者は少し考え――。


「簡潔に言う」


助かる。


「世界が壊れる」


簡潔すぎた。


セレフィナが頭を抱える。


「簡潔すぎます……!」


だが監視者は続ける。


「既に兆候は始まっている」


黒い指が空をなぞる。


空間の裂け目が、さらに各地へ広がっていくのが見えた。


兵士たちが青ざめる。


「増えてるぞ!?」

「空が割れてる!!」


嫌な光景だ。


監視者が再びこちらを見る。


「本来なら」


「貴様のような異常存在は排除対象」


怖いこと言うな。


兵士たちも緊張する。


だが監視者は続けた。


「しかし貴様――」


妙な間。


「処理能力が高い」


「……は?」


「物資整理が美しい」


砦内が静止した。


褒められてる……のか?


監視者は真剣だ。


「分類」

「圧縮」

「配置」

「収納効率」

「極めて優秀」


バルクが吹き出した。


「ははっ……!」


王女まで肩を震わせている。


セレフィナは呆然。


「世界の管理者が……収納技術を評価している……?」


監視者は構わず続ける。


「故に提案する」


嫌な予感しかしない。


「世界補給管理者となれ」


静寂。


俺も兵士たちも固まった。


王女が小さく呟く。


「……肩書きの規模がおかしい」


本当に。


だが監視者は真面目だ。


「貴様なら可能」


「いや無理だって」


「拒否権は薄い」


ブラック企業みたいなこと言い出した。


その瞬間、空間裂け目の一つから何かが落ちてきた。


ドゴォォン!!


砦外へ激突。


兵士たちが悲鳴を上げる。


「な、なんだ!?」


土煙の中から現れたのは――巨大なコンテナ。


全員が固まる。


コンテナ側面には、見覚えのある文字。


【王国軍補給物資】


……俺が前に収納したやつだ。

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