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パーティをクビになった荷運び、実はアイテムボックス容量が無限だった ~王国軍の補給を一人で支えています~  作者: 水原伊織


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第二十八話 無限収納の代償

「空間が……割れてます!!」


見張り兵の悲鳴に、全員が空を見上げた。


砦上空に、黒い亀裂が走っていた。


バキバキ、と。


まるでガラスが割れるように、

空間そのものにヒビが入っていく。


兵士たちが青ざめる。


「なんだあれ……!」

「空が割れてるぞ!?」

「魔物か!?」


異様だった。


吹雪の空に、黒い裂け目。

しかも、その中心から“圧力”が漏れている。


空気が重い。

息がしづらい。


その時、セレフィナの表情が初めて大きく変わった。


「……あり得ない」


バルクが聞く。


「知ってるのか?」


セレフィナは険しい顔で答えた。


「空間断裂現象です」


嫌な名前だ。


王女も眉をひそめる。


「帝国の極秘資料にあった災害……?」

「はい」


セレフィナは空を睨む。


「本来、人為的には発生しません」


“人為的”。


その単語に、周囲の視線がゆっくりこちらへ向いた。


……なんで?


セレフィナが、俺を見る。


「レクト」


「なんだ」


「最近、収納しすぎでは?」


失礼じゃないか?


だが王女がハッとした顔になる。


「まさか……」


バルクも固まった。


「おい待て」


嫌な流れだ。


セレフィナは静かに言う。


「無限収納」

「異常容量」

「超大型物質収納」

「空間圧縮」


一つずつ数える。


「あなたのスキル、空間そのものへ負荷をかけています」


俺は首を傾げた。


「……そんなことある?」


「普通はありません」


セレフィナが即答する。


「だから“無限収納”など存在しないはずだった」


その時、空間の裂け目がさらに広がった。


バキィッ!!


兵士たちが悲鳴を上げる。


裂け目の奥から、巨大な“目”が覗いた。


全員が凍りつく。


それは生物の目ではなかった。


黒。

ただ黒い。


なのに、こちらを“見ている”。


兵士の一人が震えた声を漏らす。


「な、なんだよ……あれ……」


セレフィナの顔色が変わる。


「まずい……!」


その瞬間、裂け目から黒い腕が現れた。


砦壁より巨大な腕。

異様な爪。


空間を引き裂きながら、こちらへ伸びてくる。


兵士たちが絶叫する。


「化け物だぁぁ!!」

「総員戦闘準備!!」


だが王女が小さく呟いた。


「違う……」


全員が彼女を見る。


王女は青ざめた顔で言った。


「……あれ、“レクトの収納空間側”から来てます」

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