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パーティをクビになった荷運び、実はアイテムボックス容量が無限だった ~王国軍の補給を一人で支えています~  作者: 水原伊織


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第二十六話 移動要塞級と呼ばれた男

「――あなたを、帝国へ招待したい」


東部国境砦の空気が、一瞬で張り詰めた。

兵士たちの顔色が変わる。


「帝国だと……」

「まさか直接来るとは……!」


かなりヤバい状況らしい。


だが、俺は普通に困っていた。


「えっと……なんで?」


銀髪の女――セレフィナは、数秒黙ったあと言う。


「あなたは危険だからです」


ひどくないか?


周囲の兵士たちも微妙な顔になる。


だがセレフィナは真面目だった。


「補給革命」

「高速輸送」

「災害級魔物の無力化」

「地形そのものの除去」


並べられると、俺もちょっと怖くなってくる。


セレフィナは続けた。


「帝国では既に、あなたを“移動要塞級”と評価しています」


移動要塞。

なんかどんどん人間辞めてないか?


その時、バルクが前へ出た。


「帝国さんよ」


低い声。


「うちの国の人材を、勝手に引き抜こうとしてんのか?」


空気がさらに冷える。


セレフィナは視線だけを向けた。


「誤解です」


「ほう?」


「帝国は、友好的対話を望んでいます」


絶対嘘だ。


周囲の兵士たちもそう思ったらしく、全員警戒している。


だが、セレフィナは突然、俺へ向かって小さく頭を下げた。


「まず礼を」


「……へ?」


「東部砦を救ったこと、帝国としても感謝します」


予想外だった。


セレフィナは静かに続ける。


「この砦が落ちれば、魔物群は帝国領にも流れていました」


ああ、国境ってそういうことね。

つまり今回、帝国側も助かってるのか。


砦隊長が顔をしかめる。


「……なら何故帝国が来る」


セレフィナは即答した。


「各国より早く接触するためです」


正直すぎる。


兵士たちがざわついた。


「やっぱり争奪戦か……!」

「国家級だもんな……」


全然嬉しくない。


セレフィナが、じっとこちらを見て言った。


「レクト」


「なんだ」


「あなた、自分の価値を理解していませんね?」


最近よく言われる。


セレフィナは小さく息を吐く。


「通常、戦争とは補給速度で決まります」


「はあ」


「ですがあなたは、その常識を破壊した」


周囲が静まり返る。


「軍の移動」

「物資管理」

「食料問題」

「防衛戦」

「全てが変わる」


その赤い瞳が、真っ直ぐこちらを射抜く。


「あなた一人で、国家バランスが崩れるのです」


---


## ◆ 王国の切り札、到着


その時、後方から別の声が響いた。


「それは困るな」


全員が振り向く。


そこには、王国の紋章を掲げた大型馬車の一団。


そして、馬車から降りてきたのは――。


「第二王女……!?」


王女だった。


しかも、かなり怒っている。

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