第二十四話 荷運び、国家レベルの存在になる
「もうあれ、“国そのもの”だ……」
兵士の呟きは、誰も否定できなかった。
災害級魔物。
それを収納して、山へ捨てた。
意味が分からない。
砦中の兵士たちは、まだ呆然としている。
その時だった。
「レクト殿ぉぉぉ!!」
遠方から叫び声。
見ると、バルクたちがようやく到着していた。
騎士団を率いている。
そして、砦前の静けさを見て全員固まった。
「……終わったのか?」
隊長が遠い目で答える。
「終わりました」
「早かったな」
「砦喰らいごと」
数秒の沈黙。
バルクがこちらを見る。
「……何した?」
「収納して捨てた」
「またか」
頭を抱えられた。
その時、兵士たちが一斉に歓声を上げる。
「勝ったぞぉぉ!!」
「生き残った!!」
「補給官殿万歳!!」
かなり盛り上がっている。
若い兵士なんか、泣きながら酒を振り回していた。
「もう駄目だと思ったんだよぉ!!」
まあ、実際かなり危なかったしな。
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## ◆ 王都が動く
その時だった。
王都から来た騎士の一人が、慌てた顔で駆け込んでくる。
「レクト殿!!」
嫌な予感しかしない。
騎士は息を切らしながら叫んだ。
「王都が大騒ぎです!!」
「今度は何だ」
「砦喰らい消滅の報告が届きまして!!」
ああ。
早いな。
騎士は続ける。
「各貴族家、商会、軍部、全てが動いています!!」
「……なんで?」
「あなたを囲い込むためです!!」
嫌すぎる。
バルクが盛大にため息を吐いた。
「とうとう始まったか……」
「だから何が?」
「国家争奪戦」
物騒な単語しか出てこない。
騎士がさらに青ざめた顔で言う。
「それだけではありません!!」
まだあるのか。
「隣国まで動き始めています!!」
空気が凍った。
隊長が顔をしかめる。
「……隣国?」
騎士は頷く。
「“無限収納の男”の噂が国境を越えました」
それはまずい気がする。
騎士は震える声で続けた。
「既に複数国の使者が王都へ向かっています!!」
……
バルクが空を見上げる。
「終わったな」
「何が?」
「お前、もう普通の荷運びには戻れねぇ」
……それはちょっと困る。




