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パーティをクビになった荷運び、実はアイテムボックス容量が無限だった ~王国軍の補給を一人で支えています~  作者: 水原伊織


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第二十三話 砦喰らい襲来――災害級との遭遇

吹雪の向こう。


巨大な影が、ゆっくり姿を現した。


ズシン。

ズシン。


地面が揺れる。


兵士たちの顔から、一気に血の気が引いた。


「な、なんだあれ……」

「嘘だろ……」


砦隊長が絶望した声を漏らす。


「……砦喰らい」


空気が凍った。


聞くだけでヤバそうな名前だ。


巨大な魔物は異様だった。


四足。

黒い外殻。

まるで“山そのもの”が歩いているような巨体。


しかも口の周囲には、砕けた城壁らしき破片が刺さっている。


……本当に砦食ったのか?


隊長が震える声で言う。


「過去に三つの国境砦を破壊した災害級だ……」


「そんなのがなんでここに……!」


兵士たちが青ざめる。


普通の魔物とは、明らかに空気が違う。


グォォォォォォッ!!


咆哮。

その衝撃波だけで、砦壁の雪が吹き飛んだ。


兵士たちがよろめく。


「来るぞぉぉ!!」


砦喰らいが突進を始めた。


ズドン!!

ズドン!!


速い。

巨体のくせに異常に速い。


隊長が叫ぶ。


「総員迎撃!!」


無数の矢が放たれる。


ガガガガガッ!!


硬い。

外殻で弾かれる。


兵士たちの顔が絶望へ変わる。


「止まらねぇ!!」

「壁に来るぞ!!」


その時、俺はふと思った。


「……あれ、収納できるのか?」


隊長が振り向く。


「は?」


「いや、でかいから」


「考えるな!!」


でも気になる。


今までで一番大きい。

収納できるなら、かなり楽だ。


---


## ◆ 災害級、収納される


そう思った俺は、砦壁の上へ出た。


兵士たちが叫ぶ。


「危険だ!!」

「戻れ!!」


砦喰らいはもう目前だった。


巨大な口を開き、砦壁へ食らいつこうとしていた。


俺は砦喰らいに手を向ける。


――《収納》。


世界が止まった。


巨大魔物の姿が、消えた。


「…………」


静寂。


吹雪だけが流れる。


兵士たちが、完全に固まっていた。


---


数秒後。


「消えたぁぁぁぁ!?」


大絶叫。


「え!?!?」

「災害級が!?」

「嘘だろぉぉ!?」


砦中が大混乱になる。


俺は収納空間を確認した。


……いるな。

かなりうるさい。

暴れてる。


隊長が顔を引きつらせながら聞いてきた。


「……倒したのか?」


「いや、生きてる」


「またかよ!!」


怒鳴られた。


収納空間の中で砦喰らいが暴れ始める。


……邪魔だな。


俺は少し考える。


それから、遠くの山脈へ向けて手を向けた。


――《排出》。


ドゴォォォォォン!!


遥か彼方。

山が揺れた。


兵士たちが、口を開けたまま固まる。


やがて、誰かが小さく呟く。


「……英雄?」


すると別の兵士が首を横に振った。


「違う」


そして震える声で言う。


「もうあれ、“国そのもの”だ……」

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