第二十二話 荷運び一人で戦況が変わる
「王都から来た」
「半日でぇぇ!?」
砦中に絶叫が響いた。
兵士たちが、信じられないものを見る顔でこちらを見ている。
まあ、普通はそうなるか。
砦隊長らしき男が慌てて駆け寄ってきた。
「ほ、本当に補給なのか!?」
「多分全部あると思う」
俺は収納一覧を確認する。
矢。
食料。
回復薬。
予備防具。
携帯食。
かなり詰め込んだ。
隊長は震える手で木箱を開けた。
「回復薬だぁぁぁ!!」
砦内が歓声に包まれる。
「助かった!!」
「まだ戦えるぞ!!」
「矢もある!!」
疲弊していた兵士たちの目に、
一気に光が戻った。
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## ◆ 補給が戦場を変える瞬間
ズドォォン!!
砦壁が揺れた。
魔物の大型種が外壁へ体当たりしている。
兵士たちの顔が引き締まる。
「来るぞ!!」
「迎撃準備!!」
だが、さっきまでとは空気が違った。
兵士たちは、もう絶望していない。
補給がある。
それだけで、ここまで変わるのか。
俺は少し驚いた。
若い兵士が涙目で回復薬箱を抱えていた。
「もう終わりだと思ってた……」
隣の兵士が笑う。
「バカ、泣くな!」
「だってよぉ……!」
なんか、ちょっと感動してるな。
隊長がこちらへ深く頭を下げた。
「感謝する」
「いや、仕事だし」
「半日で王都から補給を届ける仕事があるか!!」
怒鳴られた。
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## ◆ 補給がある戦い方
外から咆哮が響く。
グォォォォォッ!!
巨大な魔物。
黒い甲殻を纏った大型種が砦門前へ現れていた。
兵士たちの顔色が変わる。
「鎧魔獣だ!!」
「Bランク級……!」
かなり強いらしい。
だが隊長は即座に叫ぶ。
「矢を撃て!!」
無数の矢が放たれる。
今までなら、矢数不足で躊躇していたはずだ。
だが今は違う。
後ろには、山のような補給。
兵士たちは、一切遠慮なく撃ち続けた。
ドドドドドドッ!!
矢の雨。
鎧魔獣がよろめく。
「回復薬持ってこい!!」
「前衛交代!!」
補給が回る。
戦線が止まらない。
兵士たちの動きが、目に見えて変わっていた。
隊長が興奮した顔で叫ぶ。
「押し返してるぞ!!」
「補給だけでここまで違うのか!?」
俺は首を傾げる。
「今までどうしてたんだ?」
隊長が遠い目をした。
「節約だよ……」
ああ。
だから押されてたのか。
矢を惜しみ、回復薬を惜しみ、戦力を削っていた。
だが今は違う。
「撃てぇぇぇ!!」
兵士たちの怒号。
鎧魔獣が、ついに崩れ落ちた。
歓声が上がる。
「倒した!!」
「いけるぞ!!」
「まだ戦える!!」
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## ◆ そして“影”が現れる
その時、見張り兵が突然青ざめた顔で叫んだ。
「た、大変です!!」
全員が振り向く。
見張り兵は震える指で遠方を指差していた。
「魔物の大群の後ろに――」
嫌な予感がした。
吹雪の向こうから現れたのは、砦級の巨大な影だった。




