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パーティをクビになった荷運び、実はアイテムボックス容量が無限だった ~王国軍の補給を一人で支えています~  作者: 水原伊織


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第二十話 レクト争奪戦、勃発

「ぜひ我が商会へ来ないかね?」


《ゴルド商会》会頭は、満面の笑みを浮かべていた。


周囲の商人たちがざわつく。


「ゴルド商会だと!?」

「王都最大手だぞ……!」

「直々に勧誘!?」


俺は少し困った。


「いや、別に転職する気は……」


「待遇は最高を約束しよう!」


会頭は食い気味だった。


「専属契約でも構わん!

金貨でも屋敷でも好きなだけ――」


「待て」


低い声が割り込む。


国王だ。


空気が一瞬で張り詰めた。


会頭が青ざめる。


「へ、陛下……」


国王は静かに告げる。


「レクトは現在、王国兵站局長候補だ」


「……っ!」


会頭の顔が引きつる。


国家中枢。

個人商会が簡単に引き抜いていい相手ではない。


だが、会頭も引かない。

商人の目をしていた。


「しかし陛下」


彼は真剣な顔になる。


「この方の力は、物流の歴史を変えます」


その場の全員が黙った。

誰も否定できない。


会頭は続ける。


「輸送速度」

「保管コスト」

「護衛費」

「流通量」


「全てが変わる」


声が震えていた。

興奮しているのだ。


「もしこの方が物流を握れば――」


そこまで言って、会頭は口を閉ざした。


だが、皆理解していた。


国の勢力図が変わる。

そのレベルだ。


---


## ◆ 商人戦争の開幕


その時、後方から別の怒鳴り声が響いた。


「ふざけるな!!」


豪華な馬車。


今度は《ベルン商会》。


さらに、


「抜け駆けは許さんぞ!!」

「我々にも交渉権がある!!」


次々と商人たちが集まってくる。


現場が一気に騒がしくなった。


バルクが呆れ顔で言う。


「始まったな」


「何が?」


「商人戦争」


嫌な単語が聞こえた。


「レクト殿! 我が商会なら王都一番の待遇を!」

「いえ! 北方流通なら我々が!」

「共同契約でも構いません!!」


囲まれた。

すごい勢いだ。

怖い。


国王が深いため息を吐く。


「静まれ」


その一言で商人たちが止まる。

さすが王だ。


国王は静かに言った。


「レクトは物ではない」


商人たちが押し黙る。


その時、俺はふと思った。


「……そんなに困ってたのか?」


全員がこちらを見る。


会頭が真顔で頷いた。


「困るどころではありません」


疲れた顔で続ける。


「最近の物流は崩壊寸前でした」


「荷物が届かない」

「護衛費高騰」

「在庫不足」

「価格暴騰」


「もう限界だったのです」


……そこまでか。


バルクが肩をすくめる。


「だから言ったろ」


「お前、自分で思ってる十倍くらいヤバい存在だぞ」


全然嬉しくない。


---


## ◆ 新たな緊急事態


その時だった。


王都方面から、一人の騎士が全速力で駆けてきた。


「陛下!!」


顔色が悪い。


またか。


騎士は叫ぶ。


「東部国境で魔物の大群が出現!!」


周囲が凍りつく。


「国境砦から緊急支援要請です!!」


騎士はさらに続けた。


「ですが――」


嫌な間だった。


「補給部隊が間に合いません!!」


その瞬間、

周囲の視線が、また一斉に俺へ向いた。


……もう嫌な予感しかしない。


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