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パーティをクビになった荷運び、実はアイテムボックス容量が無限だった ~王国軍の補給を一人で支えています~  作者: 水原伊織


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第十三話 王都炎上――無限収納の水が街を救う

「王都で大規模火災が発生!!」


騎士の叫びが、砦の空気を一瞬で変えた。


バルクが険しい顔で問う。


「被害は?」


「南商業区画が炎上中です! 強風で延焼が止まりません!」


騎士は息を切らしながら続ける。


「避難も混乱しています! 消火隊も水が足りず……!」


王都の商業区画――

人が密集し、木造建築が多い最悪の場所だ。


延焼すれば、街が丸ごと消える。


兵士たちの顔が険しくなる。


「消火隊は?」


「水の輸送が追いついていません! 井戸だけでは……!」


その瞬間、

周囲の視線が、また俺へ向いた。


……嫌な予感しかしない。


バルクが言う。


「レクト」


「言いたいことは分かる」


「話が早くて助かる」


俺はため息をついた。


困ってる人を放置するのは、後味が悪い。


「水って収納できるのか?」


「そこからかよ……」


バルクが頭を抱える。


だが実際、試したことがない。

液体だし。


騎士が慌てて言う。


「王都近郊の貯水池なら大量の水があります!」


「ふむ」


俺は少し考えた。


もし出来るなら――

王都を救える。


◆ 貯水池へ

数時間後。

俺たちは王都近郊の巨大貯水池へ到着した。


遠くの空には黒煙が昇っている。


「……ひどいな」


バルクが険しい顔をする。


風が強い。

あれは確かに危険だ。


「レクト、試せるか?」


「やってみる」


俺は貯水池へ手を向けた。


――《収納》。


次の瞬間、

巨大貯水池の水面が“沈んだ”。


「うぉぉぉぉ!?」


騎士たちが悲鳴を上げる。


水が、

吸い込まれるように消えていく。


止まらない。


池の半分近くが消えたところで、俺は手を止めた。


「……入った」


静寂。


バルクが呆然と呟く。


「水まで入るのか……」


「俺も驚いてる」


その時、王都の方角で爆発音が響いた。


ゴォォォン!!


炎がさらに大きくなる。


騎士が青ざめた。


「まずい!!」


「行くか」


俺たちは全速力で王都へ向かった。


◆ 王都炎上

王都南商業区画。


そこは地獄だった。


建物は炎に包まれ、

人々が叫びながら逃げ惑っている。


「水を運べ!!」

「こっち崩れるぞ!!」

「子供がまだ中に!!」


消火隊は必死だが、

完全に追いついていない。


水が足りない。

圧倒的に。


その時、誰かが叫んだ。


「追加の水だ!!」


違う。


俺だ。


俺は炎上する大通りへ立ち、手を前へ向けた。


――《排出》。


次の瞬間、

空から“滝”が落ちてきた。


轟音。

豪雨のような水柱。


「なっ!?」

「うぉぉぉ!?」


炎が一気に消えていく。


消火隊が絶叫した。


「火が消えたぞ!!」

「なんだこれ!!」


俺は止まらない。


――《排出》。


さらに大量の水を放出。

燃え盛る建物群へ、次々と叩き込む。


炎が、消えていく。


王都中の人間が、

呆然とこちらを見ていた。


その時、誰かが小さく呟いた。


「……救世主だ」


……いや。

俺は荷運びなんだが。

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