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7-2:包帯

 メイカルトを出発してから約十日。私たちは鍛冶都市フェクトールに入った。フェクトールの防壁でケリュスが角を落としている姿をたくさんのドワーフたちに見られたが、何も起きなかった。キリの工房に行くと、キリは私たちが来るのを待っていた様子。


「ようやく来たね」

「遅かったですか?」

「これだけ大きいと場所を取るからね。早めに取りに来てくれると助かるってだけさね」


 キリは大きな鍋を見ながらそう言った。パーラが大きな鍋をあっさりと収納すると、ミミックの異常な収納力にキリは驚き、笑う。


「また欲しいものがあればおいで」

「はい!」


 私たちはフェクトールを後にし、獣人国バフーに向かう。獣人国に向かう道中、私はアカマサに祭壇の場所を尋ねる。


「アカマサ、獣人国の祭壇ってどこにあるの?」

「変わっていなければ、都市の中央にある城の頂上にございます」

「え!?どうするの!?」

「それはその時になりましたらお教えいたします」


 フェクトールを出発してから一週間。私たちは獣郷都市クロスファングに到着。アカマサの話では、都市の中から炎を灯すのではなく、外からピーちゃん単独で炎を灯すという。門番にいち早く気づかれる可能性はあるが、私たちのことを知られなければ問題ないとアカマサは話す。


 私たちはクロスファングに入り、簡単な買い物を済ませ、北門から外へ。クロスファングから離れようとしていると、三人の獣人がこちらに向かって歩いてきた。


「ん?」

「あれは…」

「レイアじゃね?」


 私たちは、ライル、ガイ、フールと再会。三人は山にある例のダンジョンからの帰り道だそうだ。例のダンジョンに通い詰め、三人で最奥のモンスターを倒せるぐらいには強くなったという。私にその話をしながら、三人の視線はアカマサに向いていた。


「レイア、このアンデッドは…」

「新しく仲間になったアカマサです。あ、こっちがノココです」

「強さが読めないな…」

「勝てないことはわかるぜ」


 ライルたちに昼食を振る舞いながら、互いの話をする。そして昼食後、ガイは私に尋ねた。


「レイア、青いモンスターが出始めてるのは知ってるか?」

「話だけは聞きました」

「実はな、魔法国と獣人国との国境付近にも出始めてるんだ」

「食彩国との国境にも出てるらしいぜ」

「それって大丈夫なんですか?」

「今の魔法国には最強の冒険者の二人組がいる」


──ノエルさんとステラさんがいるんだ。


 私たちはライルたちと別れ、さらにクロスファングから離れた。ライルたちにはここから鬼人国に行くと嘘の情報を伝えておいた。そして日が落ち、夜になり始めたところで私たちは野宿を始める。マジッククロスを出し、ハドックとアカマサを外に残して私たちは中に入った。夕食を取り、夜が深くなってきた頃、外にいた私たちの前でノココは音と視界を遮る闇魔法の膜を展開。


「ノココ、これどうするの?」

「わたしを抱えてレイアがピーちゃんに乗る」

「…え?」


 ノココが言うには、フェニックスになったピーちゃんに乗れるのは相棒である私のみ。それでも私が抱えていれば、タマモやノココのような小さな仲間は一緒に乗ることができる。そしてノココが一緒にいれば、この膜でピーちゃんを覆ったまま空を飛ぶことができるという。


「外から見ると黒い球体に見えるけど夜なら関係ないよ。あとは炎を灯す時にわたしが膜を消して、帰る時に展開すればいいよ」

「それはようございます」

「ピーちゃんに乗るの…?」

「今までも同じよう方法で炎を灯した巫女はいらっしゃいましたので、可能でございます」

「アカマサがあとで教える方法もこれ?」

「いかにも」

「私なしじゃダメなの…?」

「それでもいいけど、どこからフェニックスが飛んできたか知られちゃうよ」

「僕に乗るのいや?」


──やるしかないかぁ…。


 私はパーラをタマモに預け、ノココの展開した膜の中で、特等席に鎮座したまま炎を纏ったピーちゃんをフェニックスに変える。


「スカーレットリンク!」


 ピーちゃんの纏う炎が大きくなり、私ごと炎で包む。私の魔力とピーちゃんの魔力が混ざり合い、私とピーちゃんの纏った炎は私ごと球体になり大きくなる。球体が大きくなるのが収まると炎は弾けて消え、特等席にはフェニックスとなったピーちゃんが鎮座していた。


「…ピーちゃん、降りてもらっていい?」

「重い?」

「重くないけど…」


 ピーちゃんは特等席から私の隣に舞い降りた。そのピーちゃんを、ノココとアカマサは不思議そうに眺めている。そしてついに、私がピーちゃんに乗る時が来た。ピーちゃんは地面に伏せるような格好になり、私はピーちゃんの胴体を跨ぐ。ツチノコに姿を変えたノココをタマモから受け取って抱えると、ピーちゃんは翼を羽ばたかせて浮遊。


「レイア、大丈夫?」

「う、うん。意外と安定してる」

「ちょっと待ちなさい!」


 声を上げたのはパーラ。パーラは私の背中に飛びつくと、連れていくように言った。


「レイアの背中には私がいないとね」


 私がパーラを背負うと、みんなは心配しながら私たちを送り出す。


「レイアさん、気をつけてください」

「ピーちゃん殿、レイア様をお願いいたします」

「気をつけるのだぞ」

「ママを落としちゃダメだよ」

「皆様、お気をつけて」

「行ってきます!」


 私がみんなにそう言うと、ピーちゃんは一気に上昇し、みんなの姿は膜の外へ。中からの視界も遮ってしまうため、みんなの姿は見えなくなった。


「ピーちゃんは祭壇の場所わかるの?」

「見えないからわかんない」

「これでいい?」


 ノココは正面の視界が少しだけ見えるよう、膜に穴を開けた。


「外から炎の明かりが見えるから早く移動してよ」


 ピーちゃんは左右の翼を羽ばたかせて、クロスファングへ進む。ゆっくりと翼を羽ばたかせているものの、移動速度は速い。ほんの一瞬のうちに都市に入り、お城の上空まで到着。


──これって…、見つかったら大問題かなぁ…。黙って入ってるし、お城にも…。


 私たちはお城の頂上にある祭壇の真上まで来た。ノココが膜を解除すると、ピーちゃんの炎がクロスファング全体を照らす。そのあまりの輝きに、眠っていた都市はわずかに起き始め、少しずつ人が出てくるのが見える。


「ピーちゃん!早めに炎を灯そう!」

「わかった!」


 ピーちゃんは自らの燃え盛る羽を一枚取り、緋炎の祭壇に落とす。羽根が祭壇に落ちるとそこから大きな炎が生まれ、炎はクロスファング全体を照らし始めた。


「これでいいかな?」

「ピーちゃん、そのまま上昇してよ」

「わかった!」


 ノココの指示に従ってピーちゃんはゆっくりと上昇し、都市が小さくなった時、ノココは膜を展開。私たちはみんなのところに戻る。みんなのところに戻っている間に、なぜ上昇したのかパーラが説明を始めた。


「上昇する必要あった?」

「あの魔法は黒い球体なんだから、あそこでそのまま使ったらみんなに行き先がわかっちゃうでしょ?」

「あ、そっか。ノココって頭いいんだね」

「普通だけど…」


 私たちはみんなのところに帰り、ピーちゃんは太ったファーストバードに、ノココは人の姿になった。


「よく見えた?」

「はい!」

「非常に美しい光景でした」

「うむ、きれいだったな」

「かっこよかった!」

「お見事でございます」


 私たちはマジッククロスの中に入って床に就く。翌日、朝食後にクロスファングに行くといつも通り騒ぎになっていた。闇に紛れてフェニックスが急に現れたとか。炎を灯した後は上昇して消えたとか。その他にも尾ひれがついた話があちこちから聞こえてくる。


「他の国より騒ぎになってる気がするけど、なんで?」

「フェニックスを見たことのある人がいないからかと」


 アカマサは続ける。鬼人族やエルフ族の中でも、フェニックスを直接見たことのある人はほとんどいない。普段は祭壇を膜で隠し、炎が灯った後に膜を消すため、炎を灯す瞬間をみたことのある人はほとんどいないのだ。


「長命種でもなければ貴重な体験となるでしょう」

「ピーちゃんが祭壇に炎を灯す瞬間を見た人があることないこと言いたくなるのはわかるよ」


 ノココの言葉に私を含めて全員が頷き、ピーちゃんはその言葉が嬉しいのか、私の頭上で体を揺らしていた。私たちはクロスファングの雰囲気を確認し、東門から外に出る。次に向かうは魔法国。


 東門から外に出た時、私たちの後を追ってくる小さな人影があった。その気配に私以外の全員が気づき、一斉に振り返る。


「みんな、どうしたの?」


 そこにいたのは魔法学園の学園長であるティアラ。その頭上には青い何かが鎮座していた。ティアラがゆっくりとこちらに向かってくると、頭上の青い何かがはっきりと見えてくる。それは青いピーちゃん。太った青いファーストバードのようなモンスターを、ティアラは頭に乗せていた。


 私たちはそれに驚いていたが、一番驚いていたのはピーちゃん、ノココ、アカマサの三人。


「レイア、久しぶりじゃな」

「お久しぶりです。学園はいいんですか?」

「大丈夫じゃ。それより、昨日のフェニックスは見たかの?」

「えっと…、寝てたので…」

「そうか、それはもったいないことをしたの」

「あの、頭のそれは…」

「『ギーちゃん』じゃ」

「ギーちゃん?」

「ギー!」


 ティアラがギーちゃんを私に紹介すると、青いピーちゃんはギー!と鳴いた。ピーピー鳴くから「ピーちゃん」という名前になったように、ギーギー鳴くから「ギーちゃん」になったようだ。


「レイアたちはどこへ行くのじゃ?」

「魔法国です」

「なら一緒に行こうではないか」


 私たちはティアラと一緒に魔法国へと向かう。魔法国までの道中、私はティアラに魔法国の現状について尋ねる。ダンジョンに続き、青いモンスターも確認されているという話をすると、ティアラは少し焦ったような顔を見せた。


「ま、まあ問題はないじゃろ。今のところ学園にも都市にも影響はない。ロマリスは忙しそうにしてるがの」

「ならいいんですけど…」


 私は隣を歩くティアラの体で気になる点があった。それは、両手が包帯でぐるぐる巻きになっている点。ショートパンツから覗く脚もまた、わずかに包帯が巻かれている。


「あの、そのケガって…」

「これは…、まあ、気にせんでよい」


──ピーちゃんなら治せるかなぁ。


 その後は、私の話やマリの話をして魔法国を目指した。道中の食事は私持ち。ティアラはマジックバッグ持ちで食料も万全だったが、パーラの料理に勝るものは持ち合わせていない。そして何より、パーラの料理を気に入ったのはギーちゃんだった。


「ギー!」

「なんて言ってるんですか?」

「わからぬが、この料理が気に入ったのかの」

「学園長ってビーストテイマーじゃないんですか?」

「わしはビーストテイマーになったわけではないのじゃ」


 昼食後、歩きながらティアラはギーちゃんについて話す。ギーちゃんは、ティアラが造ったフェニックス。ティアラはフェニックスの炎を研究していたという。最後の決め手になったのは、祭壇に燃え残ったフェニックスの羽根。


「どこで燃え残った羽根を手に入れたんですか?」

「それは…、秘密なのじゃ!」


 ティアラの話にアカマサは何かを考えている様子。そして、あの青い炎はギーちゃんが灯したとティアラは言った。


「ギーちゃんはわしに懐いておるが、ビーストテイマーのように言葉はわからぬ…。レイア、どうすればよいかの?」

「そう言われても…」

「今はギーちゃんの声を聞くための魔法具の研究をしているのじゃが、どうにもうまくいかん。なにかに邪魔されているように感じるのじゃ」


 ティアラのその言葉に、ノココとアカマサは何かを察する。日が落ち、私たちは野宿を始める。ノココとアカマサの進言により、マジッククロス無しの野宿となった。


「使っちゃダメなの?」

「ダメじゃないけど…」

「姫様、見張りの時にお話いたします」


 私は見張りを申し出て、ティアラとギーちゃんには休んでもらった。二人が眠ると、ノココはティアラとギーちゃんだけを覆うように、闇魔法の膜を展開する。そして、私、タマモ、ハドック、ノココ、アカマサの五人で話を始める。


「これ必要?」

「念のためだよ」

「姫様、単刀直入に申し上げますが、このお二人は危険でございます」

「え?」

「フェニックスを造るなどあり得ませぬ。フェニックスとはこちらで眠っているピーちゃんのみ。人が造ってよい命ではございません」

「それから、モンスターの言葉を理解する魔法具はダメだよ。言葉を理解していいのはビーストテイマーだけ。そういう決まりになってるよ」

「でもみんなはモンスターの言葉がわかるんでしょ?ギーちゃんの言ってたこともわかるんじゃないの?」

「わかりませんでした」

「同じく」


 私は首を傾げながら考えたが何もわからなかった。マジッククロスについても似たような魔法具は存在するものの、やはり特別な魔法具なため、研究熱心なティアラには見せない方がいいということだった。その後、私は気になったことを尋ねる。


「ピーちゃんの羽根って燃え尽きるよね?」

「稀に燃え残ることがあると聞いております」

「ピーちゃんと炎の巫女の繫がりが不安定だと残るって聞いたよ」

「不安定?」

「覚醒したあと、最初に炎を灯した祭壇で羽根が残りやすいらしいよ」

「そうなんだ」


 クロスファングを出発してから一週間。私たちは魔法国クジナスに入る。ここまでの道中、特に変わったことはない。ただ、ティアラが薬のようなものを飲み続けていることだけが気になった。関所の人には青いモンスターについて説明され、私たちは魔導都市アルカディアを目指す。


「学園長は青いモンスターを見たことあるんですか?」

「見ておらぬ」

「そういえば、なんでクロスファングにいたんですか?」

「そ、それは…、休暇じゃったからの」


 関所を抜けてから一週間。私たちは魔導都市アルカディアが見える位置まで来ていた。青いモンスターとは出会うことがなく、平和な道のりだった。都市に入り、ティアラは学園に、私たちはギルドに向かう。


「レイア、うまい飯をありがとうの」

「こちらこそ、楽しかったです」

「ピー!」

「ギー!」


 ティアラと別れた後、私はピーちゃんに尋ねる。


「ピーちゃん、ギーちゃんの言ってることわかる?」

「わかんないけど楽しい!」

「そっか」


 私たちがギルドに入ろうとすると、ノエルとステラが声をかけてきた。


「レイア」

「あ!ノエルさん!ステラさん!」

「ノエル、ちょうどいいかもしれませんね」

「そうだな」

「なんの話ですか?」


 ノエルとステラに連れられて、ギルドマスターの部屋に向かう。


「レイアさん、お久しぶりです」

「お久しぶりです」

「ロマリス、アクアハーバーの件はレイアに任せられないか?」

「レイアさんへのご説明は終わっていますか?」

「これからです」


 二人は、アクアハーバーのキュラスが出した依頼を私たちに任せるという。依頼内容はダンジョン攻略。アクアハーバーの近くに出現したダンジョンがS級ダンジョンということで、すぐにでも攻略してほしいというものだった。マーゲンのテイルにも手紙を送ったものの、食彩国は普段から忙しいので断られてしまった。


「やはりあの青い炎が原因だと思うが、肝心のティアラがいなくてな」

「一緒にここまで来ましたよ?」

「レイアさん!それは本当ですか!?」

「は、はい…」


 私はロマリスの勢いに押されつつ、返事をした。ここを離れられない二人に代わって依頼を受け、ギルドを後にする。ロマリスは学園に行くとのことで、ギルドの前で私たちと別れる。私がこのまま出発することを二人に伝えると、一日待つように言った。


「出発は明日にしてくれ」

「え?急ぎなんですよね?」

「レイアさんに頼みがあります」

「なんですか?」

「それはな…」


 私たちは南門から外に出て、アルカディアから離れた場所で野宿をする。近くにダンジョンやモンスターの気配はないもの、青いモンスターが出現する可能性があるため、マジッククロス無しの野宿となり、ハドックとアカマサ以外にも見張りを立てる。


 そして深夜、私たちはアルカディアに向かう。向かうのは私、ピーちゃん、パーラ、ノココ。フェニックスとなったピーちゃんに乗り、アルカディアに無断で侵入。そして青い炎を消した後、ピーちゃんが緋炎の祭壇に炎を灯す予定。ノエルが出発を遅らせるように言ったのはこのためで、二人は祭壇のそばで待機し、折を見て祭壇を膜で覆ってくれるという。


「みんな、行ってくるね」


 フェニックスとなったピーちゃんに乗って出発。ノココはピーちゃんを覆う膜に穴を開けて視界を確保。アルカディアの中に入って祭壇の真上に来ると、祭壇はステラの展開した膜で覆われており、私たちはそのまま祭壇の隣に降りる。ピーちゃんが着地するとノココは自らの膜を消した。


「見つかったら怒られるな」

「そうですね」


 ノエルとステラは笑顔でそう言った。


──絶対楽しんでる…。


 フェニックスとなったピーちゃんは、初めてここに来た時と同じように青い炎をついばむ。前回と違って何度もついばむのではなく、数回ついばんだところで青い炎は消え、自らの羽根を落とすと大きな緋色の炎が灯った。


「これでいいな」

「ええ」

「じゃあ私たちは外に出ます」

「朝になったらこっちから出向く」

「待っててくださいね」

「わかりました」


 私たちはピーちゃんに乗り、アルカディアの外に出た。ステラの展開した膜の中でノココが膜を再展開し、ピーちゃんは空へと舞い上がる。そしてそのままみんなの待つ場所に戻り、床に就く。見張りはハドックとアカマサを中心に、みんなで交代してくれるという。


「私もやるよ?」

「姫様とピーちゃんはお休みください」

「魔力もあるし、だい…」


 私が反論すると、小さな水の玉が飛んできた。水の玉が当たって弾けると私は眠ってしまった。


「ノココさん、少し乱暴だと思います」

「面倒だったから」

「いいんじゃない?レイアが早く寝てくれないとこっちの順番が決まらないわよ」

「ピーちゃん殿もお休みください」

「おやすみ!」


 その後、私とピーちゃんを除いたみんなが交代で見張りをしたと、起きた時に聞かされた。翌朝、私が目覚めると、タマモ、ハドック、リオン、アカマサが見張りをしていた。


「ん…、あれぇ…、寝てたぁ…?」

「おはようございます」

「レイア様、おはようございます」

「おはよー」

「姫様、おはようございます」


──なんで寝ちゃったんだっけ?


 私は朝食を取りながら、眠ってしまった原因を必死で考える。そして、ノココが何かを飛ばしたことを思い出す。


「あ!ノココが私になにかしたから寝ちゃったんでしょ!?」

「なにもしてないよ」

「え?」

「炎を灯して疲れて寝ちゃっただけだよ」

「そうなの?」

「そうだよ。それより、よく寝れた?」

「え、あ、うん。よく寝たと思う」

「…よく効くからね」

「なにか言った?」

「なにも言ってないよ」


 朝食が終わった頃、ノエルとステラがやってきた。


「レイア、昨日はよくやった」

「私の使命なので」

「そうですね。ですがアルカディアでは本物のフェニックスが来たと沸き立っていますよ」

「アクアハーバーのキュラスには手紙を送る」

「レイアさん、お願いします」

「はい!」


 私たちは二人に見送られながら南へ。目指すは水産都市アクアハーバー。まずは食彩国バンダースに入り、そこから人間国フォーリに入る。ただ、寄り道している時間はない。マーゲンには寄らず、そのままアクアハーバーまで一直線。




 私たちを見送った後、ノエルとステラはギルドに向かった。そしていつものようにギルドマスターの部屋に行くと、そこにはロマリスの他にティアラがいた。


「ティアラ、そのケガはなんだ?」

「…」

「見せなさい」


 ステラが語気を強めて言うと、ティアラは片腕の包帯を外し始めた。包帯の下から現れたのは大きな火傷の跡。包帯を外していない方の腕も同じようになっているとティアラは言う。


「ティアラ、これはどこで?」

「研究中の事故じゃ。じゃから…、すべての責任はわしにある」

「ロマリスは知っていたのですか?」

「ケガをしたとは聞いていましたが、包帯の下がこうなっているとは…」

「ティアラ、服の下はどうなってる?」


 ノエルの言葉に、ティアラの体は硬直した。その硬直をノエルが見逃すはずもなく、服を脱ぐように伝える。


「脱げ」

「…」

「切り刻んでもいいんだぞ」

「ノエル」

「む、だが…」

「わ、わかったのじゃ!」


 ティアラが服を脱ぐと、火傷の跡がいくつも確認することができる。その火傷の跡に三人は言葉も出なかった。そのケガを見たロマリスは力なく言葉を吐き出す。


「そのケガでよく大丈夫ですね…」

「薬が効いているからの」

「ステラ、これは…」

「おそらく同じ考えですね」

「ロマリス、少しここを離れる」

「私たちが戻るまでティアラをここから出さないように」


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