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5-4.5:アメリ視点2

「あ、お昼食べるなら食堂使ってもいいわよ」

「ありがとうございます!」


 宿屋の店主…、には見えませんでしたが、宿屋の方の許可をもらい、私たちは食堂で昼食をいただくことになりました。私はレイアさんのあとに続いて食堂に入り、食堂の一番奥のテーブルで昼食の準備を始めます。レイアさんがパーラさんをテーブルの上に降ろすと、パーラさんは触手を使って次々と食べ物を取り出し始めました。


 様々なものが詰まったパン、白米が三角形になっているもの、美しい見た目のタルト、甘揚げにぎり、そして大量の野菜とフルーツ。パーラさんはすべてを出し終えると、次にお皿を取り出しました。私のお皿も、今だけはパーラさんに預けてあります。


 準備が整ったところで昼食が始まりました。レイアさんとパーラさんはお仲間のみなさんに食事を取り分け、私も食べたいものを取ります。レイアさんがタマモさんのお皿に甘揚げにぎりを置くと、タマモさんは一口食べました。その一口で虜になったのか、その後は一心不乱に食べ進めるタマモさんに、私は驚きました。


「タマモ、おいしい?」

「コン!」

「おいしいんだって」


 そんなタマモさんを見て、私も甘揚げにぎりを口にしました。外側の茶色い皮のようなものはふわふわで、甘いタレがよく染み込んでいます。中にはお米が入っており、さわやかな酸味がありました。皮の甘さとお米の酸味が、互いを引き立たせているように私は感じました。


 私たちが昼食をいただいていると、食堂の利用許可を出した宿屋の女性がなにかを持ってやってきました。


「…バランス悪くない?」


 私も買い物の段階から昼食のバランスの悪さは感じていましたが、それを補って余りあるおいしさでしたので言われるまで忘れていました。


「これ、サービスだって」

「これは?」

「野菜とフルーツのジュース」

「ありがとうございます!」


 大きな入れ物に入ったジュースを、レイアさんは私の分まで注いでくれました。ジュースはオレンジ色をしており、甘く、酸っぱく、楽しい味でした。パンはお野菜の詰まったものを、白米が三角形になったものは「おにぎり」と言うそうで、これはお魚の入ったものをいただきました。


 そして最後は美しい見た目のタルト。様々なフルーツがふんだんに使用され、小山のようになっています。パーラさんが美しい包丁で切り分け、一人一切れずついただきます。


 ピーちゃんやタマモさんは、その小さな体に似合わない食欲を持っていることにいつも驚かされます。食べたものはどこに消えているのでしょうか。太らないのでしょうか。


 タルトは非常に甘く、フルーツの酸味がちょうどよく感じました。昼食を終え、私たちはお部屋に戻りました。レイアさんのお仲間は自分の寝床で食休みをするようです。私とレイアさん、それから人の姿になったタマモさんはイスに座り、昼食の感想をお話しました。


「タマモさん、甘揚げにぎりは夢中になるほどでしたか?」

「は、はい…」

「もっと買う?」

「できればホムラさんにも食べさせてあげたいと思います」

「じゃあたくさん買わないとね」

「ホムラさんというのはどなたですか?」

「福々堂の人だよ」


 福々堂。そこで服を購入するためには特別な紹介が必要です。たとえそれが王族であったとしても。タマモさんの服も大変美しいのですが、レイアさんの着ている緑のケープも福々堂で作られたものだと教えていただきました。


 それ以上に、レイアさんはさらに二着の服を持ち、寝る時も私が着用するものとは違ったものを着用しています。レイアさんはやはり不思議な方です。


 ここまでの道中、私は少し楽観的だったと思い直しました。レイアさんは冒険者、私は護衛対象。道中の危険から私を守るのがレイアさんたちのお仕事です。私はレイアさんと楽しくお話しながら学園まで行けると思っていました。


 しかし、レイアさんが私と積極的にお話をするのは昼食や休憩、あとはマジッククロスという不思議な魔法具の中に入った時だけ。私は嫌われてしまったのだと思いましたが、それは私の思い違いでした。


 レイアさんだけでなく、みなさんが私を守るために動いているのです。私はもっと強くならなければなりません。学園に入れば一人。長期休みで城に帰るまでは誰も助けてはくれないのです。


 学園から城へ帰る時も、レイアさんに護衛を依頼するつもりです。もしレイアさんに依頼を受けていただけるなら、その時には少しでも成長した私を見せようと、密かに決意しました。


「アメリ、大丈夫?」

「は、はい!」


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