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4-14.5:レイア視点

 翠樹都市シルバンを出発してから約二週間。私たちは交易都市メイカルトまで戻ってきた。


──ギルドに行って、買い物して。あ、ディアンさんにも会わないと。


 ギルドに向かっていると、人々の視線が私たちに集まるのを感じる。


「なんか見られてる?」

「視線は感じますが、敵意は感じません」


──私たちってまだ珍しいのかなぁ?


 ギルドに到着し、中に入る。すると、ギルドの中にいた冒険者全員の視線が私たちに集まった。


「えっと…」


 私たちがその場で固まっていると、一人の女性がこちらに歩いてくる。


「レイア」

「リータさん…、私たち見られてますよね…?」

「B級冒険者だから」

「え?知ってるんですか?」

「みんな知ってる。一緒に来て」

「は、はい」


 リータの後に続いてギルドの奥へ向かう。向かった先はギルドマスターの部屋。リータが扉をノックすると、中からボガートが入室を許可した。


「リータか、まだなにか…、ってレイアじゃないか!帰ってきたか!」

「は、はい…」

「聞きたいことが山ほどあるぞ!」


 私とリータはソファに座り、ボガートは対面に座る。ボガートの聞きたいことというのは、B級に上がったことではなくあやかのことだった。


「そうか、あやかさんは幸せそうだったか」

「はい」

「よかった」

「それはいいことだが、休ませてくれからの辞めるだからな。驚かざるを得なかったな」

「あやかさんがいなくなってここは大丈夫なんですか?」

「大丈夫だと思ってたんだがな…。あやかさんは最古参だっただけに、かなり細かいところまでやっていたみたいでな…」

「このギルドは終わり」

「終わるわけないだろ!ちょっと大変なだけだ!それに今は人も増やして対応できてる、…はずだ」


──大丈夫かなぁ…。


「あやかさんのことはわかった。とにかくレイア、B級おめでとう」

「ありがとうございます」

「これで私と対等」

「まだ冒険者になってから一年も経ってないんですけど…」

「年数なんて関係ないぞ」

「うん、関係ない」

「ところで、レイアはエースにはならないよな?」

「なりません」


 私たちはギルドマスターの部屋を後にし、受付まで戻ってきた。そしてそのままギルドから西門に向かう。リータは模擬戦をしたがっていたが、私の事情を伝えると素直に引き下がってくれた。条件付きで。


「ハーベ村まで行けば模擬戦してくれる?」

「は、はい…」

「わかった」


 西門に到着し、ディアンに挨拶をする。


「ディアンさん、こんにちは」

「お!B級冒険者様じゃねーか!」

「ディアンさんも知ってるんですか?」

「そりゃレイアのことは冒険者になった時から知ってるからな!」

「そうですね」

「それにしても、グリフォンでかくなったなあ」

「大きくなってますか?」

「一緒にいると気づかないもんだ」


 その後、ディアンと少し話をし、私たちは買い物に向かう。買い物の道中、私はギルド職員から受け取った手紙を読む。手紙はミーティアからだった。


「ミーティアさん、元気になったって」

「うん!」

「来てくれたらごちそうを用意するって書いてある」


 買い物を終え、東門からハーベ村へ。


「みんな、村に帰るよ!」

「おー!」

「おー!」


 メイカルトから二日、私たちはハーベ村に到着。そしてその日の夜、私たちの到着を待っていたかのように、ハンナは元気な女の子を出産した。




「やっと寝た…」

「お疲れ様」

「子供って大変だね」

「レイアもこんな感じだったのよ?」

「今じゃこんなに元気で、俺よりすごい冒険者になったからな!」

「みんなのおかげだから」


 私たちが村に戻ってから三か月が経った。私の妹の「マリ」は元気に育っている。生まれた時からみんながそばにつき、珍しいものを見るようにマリを見つめている。


 ピーちゃんとリオンは常にマリのそばに。パーラは産後で満足に動けなかったハンナの代わりに料理を担当。私とケリュスは畑に行き、ミゼルの代わりに畑仕事を手伝う。時にはマリから離れ難そうなミゼルを引きずって三人で畑に向かうこともある。


 私たちの中で一番活躍したのはハドック。アンデッドに睡眠は不要。私たちがマリの夜泣きで目を覚ますと、マリを布で包み、そのまま抱きかかえていたのだ。


「ハドック…、なにしてるの…?」

「レイア様!?これは、その、決して傷つけようとしていたわけでは…」

「ハドックはそんなことしないけど、子供は大丈夫なの?」

「マリ殿はレイア様の家族ですので」

「そうだけど、ダメそうなら言ってね」


 一階に増築された部屋は正式に私の部屋になり、何故か私の部屋にマリの寝床が設置されている。マジッククロスについてはミゼルとハンナに説明して部屋に常設。マジッククロスの上からは大きな布を被せ、何かあった時のために隠してある。


 そして一番大きな出来事としては、タマモのことを二人に話したこと。


「こんな魔法具見たことないぞ」

「うん、だから秘密にしておいてほしいんだけど」

「レイアは本当にすごい冒険者になったのね」

「B級だぞ?俺の一つ上で上級冒険者だ。そこら辺の冒険者とはわけが違う」

「あと、もう一つ秘密にしてほしいことがあって…」

「なんでも言ってみろ、この魔法具よりすごいことは起こらないだろ」

「タマモ」


 私がタマモに合図を送ると、タマモは人の姿へと変わった。その光景に、ミゼルとハンナは声も出ない様子。


「…」

「…」

「大丈夫?」

「これは魔法なの?」

「うん」

「…」

「父さん?」

「魔法で人の姿になるのはわかった…。だが、その服は…、まさか…」

「複々堂のだけど?」

「ふくふくど…」


 ミゼルは気絶した。


「あら、また気絶しちゃったわね。でもすごくいい服ね。ちょっと触ってもいいかしら?」

「どうぞ」

「人の言葉が話せるの!?」

「話せます」

「娘が増えたみたいね」

「タマモはすごいんだよ」


 その後、ミゼルが起きるまでは服の話やタマモの話をしていた。タマモが人の姿でいるのはマジッククロスの中だけ。外に出る時は必ず小さくなる。タマモはマリの世話をしたり、マリの服を作ったりと忙しそうにしていた。


 タマモについては一つだけ、二人にも秘密にしていることがある。それは九尾の狐にもなれるということ。タマモのことを話すと決めた時に、みんなで話し合って決めた。


「大きなタマモ殿のことは秘密にしておくべきかと」

「私もそう思うわ」

「われもだ」

「リオンは見たことないよ?」

「リオンは見たことなかったね。うーん、タイミングがあればね」


 ミゼルが気絶から復帰した後はハンナと同じようなことを言っていた。


「娘が増えたみたいだな」


 この三か月、村の外に出たのは月に一度ほど。買い物のためにメイカルトまで行くが、マリが気になるので足早で帰る。外に出る時はマジッククロスを持ち、ピーちゃんとタマモは村に残ってもらう。


「レイアは過保護すぎるぞ」

「ミゼルの子供なんだから過保護に育っても仕方ないわよ」

「…俺って過保護なのか?」


 村でマリの世話をしている間、約束はしていないものの、模擬戦をするためにリータは村を訪れ、マリを抱いたハドックを見て驚いていた。


「…」

「あ、リータさん、こんにちは」

「レイア、ハドックは赤ちゃんの面倒を見てるの?」

「はい、よく眠ってくれるんですよ」


 その後は離れたところで模擬戦を行い、満足そうにリータは帰っていく。月に一度ほどのペースでリータは模擬戦のために村までやってくる。マリを中心に回っていたこの三か月は嵐のように過ぎ去っていった。


 私たちが冒険を再開するきっかけになったのは、とある護衛依頼。その護衛依頼は私を指名していた。依頼主はフォーリ国国王とお姫様の連名。


「この依頼って…」

「レイアがダメなら私と他の冒険者でやる」

「やります!」


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