4-6:ふうかの姉
そして夕食の時間になった。部屋の扉がノックされたのでタマモが開けると、ホムラたちが入ってくる。夕食を持っている様子はなく、ホムラとサクヤが鞄を所持しているだけ。
「キッチン借りるよ」
ホムラはそう言うとフォルスと夕食の準備を始めた。鞄から食材や鍋、調理器具等を次々と取り出す。サクヤが鞄から食器類を取り出すと、ルルが長机に並べていく。それを見たタマモは料理の手伝いへ。パーラも料理が気になるのかタマモの後を追ってキッチンに向かう。
「レイアはここ、ピーちゃんはここ、それから…」
私たちはルルの指示に従って席に着く。座って待っていると料理が運ばれてきた。長机にずらりと並べられた料理は今までに見たことのない豪華さと量。肉料理に魚料理、ケリュスのことを知ってか、野菜のみの料理に色とりどりのフルーツ。その種類の多さについて私は尋ねる。
「あの…、ここっていつもこれぐらい食べるんですか?」
「いつもはこんなに出さないよ。レイアたちの歓迎会みたいなもんさ」
──みんなはいいけど、私は全部食べられるかなぁ?
夕食を始める前に困ったことが起きた。それについて私が尋ねると、ルルが答える。
「これって『箸』ですか?」
「そうだよ。あ、使えない?」
「はい…」
「じゃあ明日からタマモと一緒に練習した方がいいかもね」
ルルがそう言うと、サクヤの持つ鞄から箸以外の食事道具を取り出してくれた。ピーちゃんとリオンは食べる前から料理に夢中で、パーラはキッチンに張り付いている。ケリュスは元の大きさのまま大人しくしており、ハドックは私の後ろで微動だにしない。
「よし、今日はレイアたちの歓迎会だ。たくさん食べなよ!」
ホムラの言葉により歓迎会が始まった。
ルルはピーちゃんに、サクヤはリオンに、フォルスはケリュスに、ホムラはパーラに、それぞれ料理を取り分ける。私がそれを見ていると、タマモが口を開く。
「レイアさんはなにを食べますか?」
「全部食べたいけど…、少しずつくれる?」
「わかりました」
タマモは少し長い箸を使用して料理を取っていく。その箸さばきは人間が扱うかのように器用だった。
「上手だね」
「ありがとうございます」
タマモは少し照れながら料理をお皿に乗せ、私はタマモから料理の乗ったお皿を受け取る。取り分けられた数々の料理の一つである、小さな肉の塊を口に運ぶ。噛む必要がないほど柔らかく煮込まれ、肉の旨味と脂の甘味、甘辛いタレが口の中に広がっていった。
──なにこれ!?すごく柔らかい!タレは甘いけど少しだけ辛くてすごくおいしい!
次に、魚や野菜を揚げたものを口に運ぶ。タマモが塩を用意してくれたので、少しつけてから食べた。
──これもおいしい。素揚げでもないし、アクアハーバーで食べた魚の揚げ物とも違う。なにか別の物をつけてから揚げてるのかなぁ。パーラならわかるかなぁ?
まだまだたくさんの料理を前に、私は全てを少しずつ楽しんだ。そんな私を見て、タマモも笑顔で料理を食べ始める。
私は食べながらみんなの様子を見渡す。ピーちゃんとリオンは黙々と食べ進め、お皿が空くとルルとサクヤにそれぞれ追加の要求をしている。ケリュスは野菜料理だけでなくフルーツも美味しいようで、フルーツの要求が多いように見えた。
楽しい夕食が終わり、私は片付けを手伝う。ピーちゃん、ケリュス、リオンは動けないほどに食べたようだった。元々丸いピーちゃんがより一層丸くなったように感じる。片付けが終わるとサクヤが鞄からティーセットを取り出し、ホムラが紅茶を淹れる。
──この紅茶おいしいなぁ。私もこれぐらい淹れられるようになるといいんだけどなぁ。
「さてレイア、タマモはあとひと月はここにいてもらう必要があるけど、その間どうするつもりだい?」
「ギルドに行きます。売るものと大切な依頼があるので。その後は特に決めてないんですけど、ここを見て回るつもりです」
「俺たちにも売ってほしいものがある」
「なんですか?」
「ケリュスの角だ」
フォルスが欲しいと言ったのは、ジュエルレーンディアであるケリュスの角。万能というだけあって、どこにでも必要とされるがここは衣服を扱うお店。服を作るのに必要なのかを尋ねる。
「服を作るのに必要なんですか?」
「そうだ」
「パーラ…」
「ダメよ」
「お願い!」
「これと交換でどうだい?」
ホムラが鞄から取り出したのは、純白の生地が巻物のようになったもの。それを見て、お店にも同じようなものがたくさん置いてあったことを私は思い出す。ホムラはそれを少し広げて説明を始めた。
「これはうちで作った反物でね。ミミックのお眼鏡にかなうかい?」
「これは!?」
四本の触手で感触を確かめると、パーラはケリュスの角を取り出した。
「パ、パーラ?」
「レイアも触ればわかるわ。触らなくても美しいのはわかるでしょ?」
「う、うん」
私は生地に触れる。以前、アメリから借りた寝間着もサラサラとした生地で着心地が良かったが、これはその比ではない。一切の抵抗なく、触れた指先は流れる。生地に厚みがあるように見えるが、厚いようには感じない。
「これと交換でいいかい?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!ホムラさん、この生地っていくらするんですか?」
「ほとんどタダみたいなもんさ。これを元にしてうちでは服やらを作るのさ」
パーラはケリュスの角を取り出し、反物を収納。お互い満足そうにしているとサクヤが口を開いた。
「そろそろ戻った方がいいと思いますよぉ」
「そうだね、あとはタマモに任せるよ」
「わかりました」
そう言って四人は退室し、私たちだけが残る。
「レイアさん、お風呂に入りますか?」
「うん。でもすごく大きくなかった?」
「そうですね。私がお湯を貯めることもできますけど、ピーちゃんにお願いしますか?」
「ぼくがやる!」
「じゃあタマモが水をためて、ピーちゃんに温めてもらおうかな」
私たちはお風呂場に移動。タマモは魔法で水を注ぐが、私やケリュスとは比べ物にならない速度で水が貯まっていく。その光景に、私はタマモが確実に強くなっていることを確信した。ピーちゃんは巨大なお風呂に着水するといつものように少しずつ温めていった。
私とタマモはお風呂に入る。タマモが豪華な衣装を脱ぐと、体も人間の女の子そのもの。
「…」
「レイアさん、どうしましたか?」
「ずっと思ってたけど、タマモって私より身長高くなった?」
「ほとんど同じだと思いますけど…」
「腕に抱ける大きさだったのに…」
「藤狐の方がいいですか?」
「タマモはどの姿が楽なの?」
「魔力的には大きくなっている方が楽です。でも次に楽なのは人の姿です。それにこの姿は色々と便利なので、このままがいいと思ってます」
「そのあたりはタマモに任せるけど、ギルドカードは大丈夫なのかな?」
「レイアさんがギルドカードを出す必要がある時は事前に小さくなるので安心してください」
「うん。それにしてもタマモの髪ってすごいね。量もそうだけどすごくきれい」
私とタマモは離れていた期間を埋めるようにお風呂の中で話をした。私たちが出た後はケリュスとリオンが入る。ケリュスは風呂好き、リオンは好きでも嫌いでもないが、生まれた時から習慣になっている。
お風呂から出た後はいつものようにピーちゃんが私たちの髪を乾かし、パーラが私とタマモの髪を同時に整えていく。ケリュスとリオンが出てきた時も同じようにピーちゃんが乾かす。髪を乾かしてもらっている間に、疑問に思っていることがあった。
──この寝巻き…、さっきの生地で作ってある気がする…。着心地がよすぎて逆に落ち着かないなぁ…。
私たちは寝室に移動する。寝室ではケリュスがクッションを使って自らの寝床を整え、大きなベッドの上ではリオンがうとうとしていた。
「ママ…、眠い…」
「うん、寝よっか」
「レイアさん、私も一緒に寝てもいいですか?」
「もちろんだよ」
「この姿でも大丈夫ですか?」
「タマモはタマモだから。小さくても大きくても、人の姿でも大切な仲間だよ」
「はい!」
私を中央に、右側にはリオン、左側にはタマモ。ベッドは広いが左右からの圧力で狭く感じた。ピーちゃんはリオンの頭の上、私の顔の近くで眠る。かつてないほどにぎゅうぎゅうな状態だったが嫌な気持ちはなく、私は簡単に眠りに落ちた。翌朝、寝巻きをはだけさせたまま私は起きた。
「おはよぉ…」
「おはよぉ…」
「おはようございます」
「レイア様、おはようございます」
「おはよ」
「おはよう」
「おはよー」
私とタマモは着替え終わり、パーラに髪を整えてもらう。髪を整えてもらいながら、私はタマモに尋ねる。
「タマモ、ご飯は用意してくれるらしいけど、朝はどうすればいいの?」
「私が呼んできます」
「じゃあお願い」
準備が整い、寝室を出る。タマモに座って待っているように言われたので、私は昨日と同じイスに座る。タマモが扉を開けるとルルが待っていた。
「あ、おはよ。みんな呼んでくるね」
「私も行きます」
ルルはそう言って他の三人を呼びに行き、タマモもそれに続く。しばらくすると、ホムラたちが昨日と同じように鞄を持ってやってきた。
「おはよう、よく眠れたかい?」
「はい!」
「キッチン借りるよ」
朝食は、白米、味噌汁、焼き魚、厚焼き玉子。それから小鉢が三つあり、それぞれに違う野菜やキノコなどが少量ずつ。フルーツは鬼人国の特産品、スカーレットチェリー。種が無く、真っ赤な実を皮ごと食べることができ、一粒の大きさも小さいので食べやすい。
──ここの朝食おいしいなぁ。優しい味がする。このチェリーは酸味が少し強いけど、甘くておいしい。
ピーちゃんは朝食を食べ終えると、チェリーをいくつか口に入れ、頬をパンパンにしながら食べていた。その様子をホムラたちは楽しそうに目を細めて見ている。
「今日はどうするんだい?」
「ギルドに行くつもりです」
「タマモは借りるけどいいかい?」
「わかりました」
私たちはタマモを店に残してギルドを目指す。ギルドに入るとそこはいつもの冒険者ギルド。冒険者の喧騒の中でテキパキと働くギルド職員。慣れた空気感に安心する。いつも通りのギルドに安心しながら、受付にいる屈強な男性に私は話しかけた。
「おはようございます」
「おお、おはよう。お前、ビーストテイマーか?」
「はい、D級のレイアです。あの、レターセットが欲しいんですけど」
「俺は『むさし』だ。レターセットだな」
私はレターセットを買って手紙を書く。そしてあやか宛の手紙をディメンジョンレターに投函し、もう一度むさしのところに向かう。
「あの、ギルドマスターはいますか?」
「なにか用か?」
「はい」
「今はいなくてな。そのうち帰ってくると思うんだが…。日が落ちる前にまた来てくれるか?」
「わかりました。あと買い取りをお願いしたいんですけど」
「ここで出せる大きさなら出していいぞ」
私は、黄色ゴブリンと赤ゴブリン、赤オーク、そして赤トロールの角を全て取り出す。むさしはそれらの角に驚いていた。
「待て待て待て」
「なんですか?」
「お前、どこでこれを手に入れたんだ?」
「メイカルトの近くにできたダンジョンです」
「あの辺にダンジョンなんて…。お前、『レイア』って名前だったな?」
「はい」
「お前が例の『問題児冒険者』か」
──丸焦げ冒険者よりひどい言われようなんだけど…。
私が少し落ち込んでいると、むさしは謝罪した。
「すまんすまん。全部買い取りでいいのか?」
「これって薬の材料になるんですよね?」
「そうだな」
「エルフ国も薬を作ってるって聞いて、そっちにも持っていきたいと思ってるんですけど」
「なら半分だけにしておくか?」
「それでお願いします」
「ゴブリンとオークの角はこのままでいいが、トロールは切断しないと無理だ。少し待っててくれ」
「わかりました」
むさしは他のギルド職員を動員し、大きなトロールの角をどこかに持っていった。待っている間に依頼掲示板を覗く。やはり薬を作っているだけに薬草採取の依頼が多い。他とは違った依頼の数々に私が胸を躍らせていると、むさしから声がかかる。
「レイア、用意できたぞ」
「はい!」
私が受付に戻ると、むさしから角が半分だけ戻ってくる。ゴブリンとオークの角は半数、トロールの角は見事な真っ二つになった片割れが返却された。戻ってきた角をパーラに収納してもらうと、むさしは大きな袋を六つ取り出す。
「これが今回の買取だ」
「…半分ですよね?」
「そうだ、不満か?」
「不満じゃなくて、多くないですか?」
「赤トロールの角は高額だ」
私は六つの袋をパーラに渡し、ギルドを後にする。帰りの道中、パーラが口を開く。
「いいお金になったわね」
「そうだけど、これってエルフ国に行ったら、同じだけ増えるってことだよね?」
「そうね」
「なんか不安…」
私たちは福々堂まで戻る。営業しているようだが客はいない。中に入るとルルが出迎えてくれた。
「いらっしゃ…、ってレイア、おかえり。ギルドはどうだった?」
「ギルドマスターに会えなかったので、日が落ちる前ぐらいにまたギルドに行くつもりです」
「ふーん」
「タマモはどうしてますか?」
「まだ魔法の練習中かな。部屋で待ってる?」
「あの、箸の使い方を教えてもらえませんか?」
「いいよ。じゃあ部屋で待ってて」
「はい」
私たちは部屋に戻る。イスに座って待っていると、サクヤが鞄を持ってやってきた。サクヤは鞄から箸とお皿を二枚、そして大豆を取り出す。二枚のお皿を並べ、片方のお皿に大豆を入れた。
「この大豆を箸で掴んで、空いてるお皿に移動させるんですよぉ。全部移動できたら、また空いてるお皿に移動させてくださいねぇ」
「わかりました」
私は箸で大豆を掴むが掴めない。何度も挑戦するが一度も掴めなかった。サクヤはその様子をニコニコと眺めている。
「レイア、ちょっと貸しなさい」
「パーラがやるの?」
「やるわ」
パーラが触手で箸を受け取り、大豆を掴む。当然掴めるわけもなく何度も挑戦。その間にサクヤは追加で箸とお皿と大豆を用意し、私も練習を再開。私より先にコツを掴んだのはパーラだった。
「なかなか難しいわね」
「もう掴めるようになったんですねぇ」
「こんなの簡単よ」
「パーラはすごいけど負けられない」
「まずは一粒でも移動させてみなさいよ」
「私はお店に戻りますねぇ」
「はい、ありがとうございました!」
サクヤの退室後、私とパーラは練習を続けた。ハドックは警備、ケリュスは元の大きさで横たわり、暇そうにしている。ピーちゃんは机の上で私とパーラの練習を見つめ、リオンも隣のイスに座り、机の上を覗き込む。パーラは完全に箸の使い方を習得し、私に教える立場に着いた。
「全然掴めないじゃない」
「パーラが器用すぎるんだよ…」
私が箸の練習をしていると部屋の扉が開く。入ってきたのはタマモ。
「おかえり」
「戻りました。箸の練習ですか?」
「うん。パーラはもう使えるようになっちゃって…」
パーラがタマモに練習の成果を見せると、タマモは驚いた。
「パーラさんは器用ですね」
「簡単よ」
私たちが箸について話をしていると、扉がノックされた。タマモが扉を開けると、ホムラたちが入ってきた。
「箸の練習かい?」
「はい、でも全然で…」
「練習あるのみだね」
ホムラたちはいつも通りキッチンを使い、昼食の準備を始める。昼食後、ホムラたちは店に戻り、私はタマモと一緒に箸の練習をする。
「タマモも上手だね…」
「レイアさんたちを待ってる間に練習していました」
私たちは練習をやめ、ギルドに行った話をする。角を売ったことや大金が入ったこと。そしてもう一度ギルドに行くことを伝える。
「だから、あとでまたギルドに行かなくちゃ行けないんだよね」
「私も行きます」
「タマモはこのままの姿で行くの?」
「小さくなるつもりです」
私たちはギルドに向かう。ギルドまでの道中、足元を歩く小さなタマモに私は懐かしい気持ちになった。そして気がついたこともある。リオンが大きくなっている。ピーちゃんとの比較で大きくなっているように感じていたものの、タマモと並んで歩く姿を見ると余計にそう感じた。
「リオン、大きくなってきたね」
「もっと大きくなりたい!」
私たちがギルドに入ると、むさしが駆け寄ってきた。
「レイア、ギルドマスターが戻ってきたぞ。話も通してあるからついてこい」
私たちはむさしの後に続いてギルドの奥に向かう。むさしがギルドマスターの部屋の扉をノックすると、女性の声で入室が許可された。
「どうぞ」
「ふうか、こいつがレイアだ」
──あれ?
「初めまして、ギルドマスターの『ふうか』です」
「D、D級のレイアです」
「じゃああとは頼むぞ」
「わかりました」
ふうかは長い黒髪を毛先でまとめ、ギルドマスターの制服を身にまとっている。そして、頭からは鬼人族の証である角が一本生えていた。私はふうかに促され、ソファに座る。
「私に用があるそうですね」
「はい、手紙とペンダントを預かってて」
私はパーラに手紙を出してもらい、机の上に置く。そしてペンダントを出した時、ふうかの様子が一変した。
「ちょっと待って!?その角はどうしたの!?」
「これはある人から預かって…」
「ある人って誰!」
「たいちさんという、鬼人族の男性です」
「そんな、まさか…」
ふうかは手紙を手に取る。しかし封を切ることはせず、手紙を凝視している。
「取り乱してごめんなさい」
「大丈夫です」
「その角は私の姉のもので、姉がたいちさんに渡したものです」
「ここのギルドマスターに渡してほしいって言われたんですけど…」
「こんなに大切なものをレイアさんに託したということは、たいちさんから信頼されている証拠です。ですからこの手紙とペンダントは私の姉に…。いえ、レイアさんにお願いがあります」
「なんですか?」
「私の姉とたいちさんを引き合わせてください」
「あの…、ギルドマスターのお姉さんを知らないんですけど…」
「レイアさんはメイカルトで冒険者になったと記録にありました。『あやか』という女性を知りませんか?」
「あやかさんなんですか!?」
「この角は私の姉、あやかのもの。そしてこの手紙もおそらく、たいちさんがあやかに宛てて書いたものです」
「それって、あやかさんがギルドマスターってことですか?」
「その話は私からではなく、あやかから聞くといいでしょう」
ふうかは姉であるあやかに向けて手紙を書き、それを私に届けるように言う。
「あの、私が手紙を届けるより、ディメンジョンレターを使った方が早くないですか?」
「早さだけであればそうなります。しかし今回はそうではありません。レイアさんがお持ちのあやかの角が必要なのです」
「角ですか?」
「その角をあやかに見せる時は人がいないところでお願いします。なにが起こるか私にもわかりません」
「あやかさんとたいちさんってなにかあるんですか?」
「私からそれを話すのは躊躇うところですが、レイアさんに手紙をお預けする以上、隠し過ぎるのも失礼ですね。あやかとたいちさんは夫婦になる予定だったのです」




