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冒険者ミカン

 私が冒険者になってから五年が経ったの。五年前はG級だったけど、今はC級まで上がって、国の外にも出るようになったよ。


「おい、もう朝だぞ」

「…」

「起きろ」

「ん…」

「ミカン!」

「ん…、おはよぉ…」

「まったく。俺の主はどうして朝に弱いんだ。いや、あいつらの主も一緒か」


 私はミカン。今はメイカルトの宿屋に泊まってる。ここはおねーちゃんが冒険者になったころによく使ってた宿屋で、朝ごはんがおいしいんだ。この五年間で仲間は増えなかったけど、タマがいるから寂しくないし、冒険者はすっごく楽しい。


 でもおかーさんは私のことを心配してる。おかーさんは今も水鏡国でギルドの受付をしながらエースをやってるよ。でもたまにエルフ国と鬼人国にお出掛けしてるみたい。おねーちゃんと一緒に出掛けたり、帰ってきたりするらしいよ。


「タマ、今日はなにする?」

「依頼だ。ミカンにはもっと強くなってもらうぞ」

「はーい!」


 私たちがメイカルトのギルドに行ったら、おねーちゃんたちがディメンジョンレターの前にいたの。


「おねーちゃん!」

「ミカンちゃん!」


 おねーちゃんは手紙を書いていたみたい。おねーちゃんは手紙が届く魔法具のせいで忙しいって言ってるけど、楽しそうに見えるのは内緒。


「おねーちゃん、次はどこに行くの?」

「これからマーゲンなんだ」

「じゃあおにーちゃんによろしく言っといて!」

「伝えておくね」


 おねーちゃんが飛んでいくのを見送って、ギルドに戻って依頼を探してたら、ギルドマスターに呼ばれたの。


「ミカンさん、こんにちは」

「こ、こんにちは…」


 ここのギルドマスターのあやかさんは怖い。おかーさんも私が冒険者として独り立ちしたあとは怖かった。おじーちゃんは「愛情の裏返し」って言ってたけど、怖いものは怖いんだもん。


「ミカンさんにお願いしたい依頼があります」

「な、なんですか?」


 依頼はダンジョン攻略だったの。メイカルトの西側には森があって、そこにダンジョンができたんだって。おねーちゃんに頼めばすぐ解決すると思うんだけどね。


「おねーちゃんに頼めばよかったんじゃないんですか?」

「そのレイアさんが、ミカンさんならできると言って残していった依頼でもあります」

「頑張ります!」


 タマと一緒に西門に行ったら、門番のディアンさんがいたから声をかけたの。


「ディアンさん!こんにちは!」

「お!ミカンか!今日はこっちに用か?」

「ダンジョン攻略です!」

「あーあれか。森に入ってすぐぐらいにあるらしいが、あのダンジョンは確か…」

「じゃあ行ってきまーす!」


 私はタマに乗って、ダンジョンまで走ってもらうの。水鏡国にいた時に、タマに乗ってタマに風をまとってもらって、全力で走り回ってたらおかーさんに怒られたから、今はほどほどだよ。それでもタマに乗ったらどこに行くのもあっという間だから便利!


「ここだね」

「ミカン、ここは俺がやろう」


 タマがやる気を出すのは珍しいかも。私はおかーさんからもらった光る魔法具を頼りにしてダンジョンに入ったの。出てきたモンスターはたくさんの緑色のゴブリンだった。


「雑魚だったか。ミカン、倒せ」

「はーい」


 私は魔法具をタマに預けて、風魔法で全部のゴブリンを倒しちゃった。先に進むと緑色のオークが数体出てきたからそれも風魔法で倒したよ。角は証拠品として全部回収しないとね。


「かなり強くなってきたな」

「そう?タマのおかげかな!」


 そのあとも緑色のゴブリンとオークが出てきたけど、あんまり強くなかったかな。ダンジョンの一番奥には緑色の大きなトロールが寝てたよ。


「大きいね」

「倒せそうか?」

「うーん、わかんないけどやってみる!」


 私はできるだけたくさんの魔力を込めて、大きな緑色のトロールに風の玉をぶつけたけど、トロールは目を覚まして私たちの方に歩いてきたの。攻撃されたことに怒ったみたい。でもタマが一瞬で倒しちゃった。


「ミカンもまだまだだな」


 タマはすっごく強い!おねーちゃんの仲間にも負けないぐらい強いと思ってるよ。


「角を回収して帰るぞ」

「コアの確認もしないとね」


 ダンジョンコアは緑色だから、それをちゃんとギルドマスターに伝えないと。そのあとはタマに乗ってギルドまで戻って、ギルドマスターに会ってダンジョンの報告をしたの。


「さすがにお早いですね」

「早かったですか?」

「あのダンジョンは…」


 私たちが行ったダンジョンはおねーちゃんが攻略済みだったみたい。緑のダンジョンはC級冒険者にはちょうどいいから、おねーちゃんはコアを破壊せずに残したみたい。それで、C級冒険者の私たちを試すためにあのダンジョンに行かせたんだって。


「試すような真似をして申し訳ありませんでした。カルナさんからもダンジョンの経験を積ませてあげてほしいと言われていたので」

「おかーさんが?」

「ええ。ミカンさんのことを心配しているようですよ。里帰りはしていますか?」


 すでに攻略済みのダンジョンだったけど、依頼という形だったから私たちはギルドで報酬をもらったよ。それで、私たちはメイカルトからリシューに帰ることにしたの。角は向こうのギルドでおかーさんに見せてから買い取ってもらうつもり。


「タマ!家に帰ろう!」

「全力で走っていいのか?」

「それはダメ!おかーさんに怒られちゃう!」


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