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後日談

 青いフェニックス事件から半年、私はメイカルトのエースとしてあちこちを飛び回っている。エースは他国に出にくくなるとの話だったが、ノココが全てを解決し、今の私たちは関所を通らずに都市を移動することが可能となった。それはアメリに会いに行った時、「関所を通るのが面倒だ」と話した一週間後に王様から呼び出しがあった。


「あの…、私たち、またなにかしましたか?」

「今日はレイアさんにこれをお渡ししようと思いまして」


 それはギルドカードと同じような大きさのカード。この大陸限定で、関所の通過を免除するカードらしい。王様の呼びかけに、この大陸にある全ての国が同意し、このカードが生まれたという。私は人間国フォーリ所属のエースのようになったが、問題を起こせば王様やアメリに迷惑をかけてしまうことも伝えられた。


 カードを受け取った後は、アメリの部屋でお茶とお菓子を食べながら過ごす。


「大変なことになっちゃった…」

「申し訳ありませんでした…」

「アメリは悪くないよ、ありがとう」

「アメリ、それ食べていい?」

「どうぞ!」


 アメリはピーちゃんに自分のお菓子を与え、お菓子を食べるピーちゃんをアメリは笑顔で眺めている。自らの手のひらからお菓子をついばむピーちゃんに、アメリは目を輝かせながらうっとりしている。


「レイア、手紙よ」

「はぁ…」


 パーラは届いた手紙を私に渡す。


「レイアさんも大変そうですね…」

「うん…。でもアメリと鬼人国に行く時間は絶対に取るから!学園に行くまであと半年ぐらいあるよね?」

「はい!楽しみにしています!」


 そして現在、私は携帯型の受信専用ディメンジョンレターに翻弄されながら、あちこちを飛び回る。今日は魔法学園のティアラに会いに来た。学園は外側の修復が終わり、残りは内装。三か月ほどで元の姿を取り戻すという。


 学園の大きな門が開くと、頭に太った青いファーストバードを乗せた小さなエルフが私たちを出迎える。


「レイア、よく来たのじゃ」

「今日はなんですか…?」

「不機嫌じゃな」

「この試作品のせいで依頼が直接来るようになっちゃったんですよ…」


 私たちは地下にある研究室に向かう。ティアラは約束通り、フェニックスに関する研究と、モンスターの言語に関する研究を破棄。その数日後、空からギーちゃんが舞い降りてきたらしい。一通の手紙と緋色の羽根を添えて。


 その手紙には携帯型のディメンジョンレターの研究をするように書いてあり、ティアラはギーちゃんを頭に乗せながら研究に没頭。あっという間に完成させ、私が実験台となっている。


──絶対ガイアさんの仕業だよ…。


「こう!」

「こう?」

「そうじゃなくて、こう!」


 研究室のテーブルの上では、ピーちゃんとギーちゃんがくるりと回って翼を広げる練習をしている。ピーちゃんには細かいところまでこだわりがあるようで、ギーちゃんに合格の出る気配はない。その様子をティアラは楽しそうに眺めていた。


「炎は使えなくなったが、ギーちゃんの言葉がわかるようになったのはよかったのじゃ」

「あ、学園長というか、ギーちゃんに渡すものがあるんです」


 私はパーラにスカーレットチェリーを取り出してもらい、ティアラに渡す。すると、くるくる回っていた二人がこちらにやってきて、同時に同じ言葉を発した。


「食べていい?」

「食べていい?」

「ピーちゃんはダメだよ。これはギーちゃんの分だから」

「よいよい、みんなで食べるのじゃ」

「じゃあ他にも…」

「待つのじゃ。仮にもここは研究室なのじゃ、向こうの部屋で頼めるかの」


 ピーちゃんとギーちゃんはスカーレットチェリーを頬張り、私たちもお菓子やフルーツを食べる。その間、ティアラはディメンジョンレターの調整をしていた。調整が終わり、私たちは魔導都市アルカディアのギルドに向かう。そしてギルドマスターの部屋に通されると、二人のギルドマスターが私たちを出迎えた。


「レイアさん、こんにちは」

「向こうは大丈夫か?」


 青いフェニックス事件の直後、キュラスはアルカディアの二人目のギルドマスターになった。理由は人手不足。アクアハーバーも大混乱だったが、ここはそれ以上。ノエルとステラも全力で依頼をこなすがそれでも人手が足りず、ロマリスが一時的に冒険者に戻っていた。事件から半年が経って落ち着きを取り戻しつつあるが、当分はこの体制でいくという。


「アクアハーバーはボガートさんとリータさんでうまくやってるみたいですよ」


 キュラスが消えたアクアハーバーにはボガートが入り、リータはメイカルトのエースのまま、今もアクアハーバーに貸し出されている。リータは氷を作れるため、水産ギルドからも重宝されているらしい。


「レイアさんは大丈夫ですか?」

「エースには向かないと思っていたが、あっさりとエースになったからな」

「ちょっと忙しいんですけど大丈夫です」


 私たちはアルカディアからメイカルトに向かう。メイカルトの新しいギルドマスターから、門が閉まる前の帰還と報告を義務付けられていた。それは私を守るためでもある。顔を出せない時は手紙で知らせることも義務になっている。日が傾き始め、ノココは少しだけ速めに空を飛び、メイカルトの西門に降り立った。


「お、帰ってきたな!」

「ディアンさん、間に合いましたか?」

「まだ余裕だぞ、しっかり報告してこい!」

「はい!」


 私たちはギルドに向かう。ギルドに入ると、片腕の無い鬼人族の男性が私たちを受付で待っていた。


「レイアちゃん、おかえり」

「たいちさん、戻りました!ギルドマスターは?」

「部屋にいるぞ」

「わかりました。あ、パーラ、書類出して」

「はいはい」


 パーラはたいちに依頼の書類を渡し、私たちはギルドマスターの部屋へ。部屋に入ると、眼鏡をかけた女性が書類仕事に勤しんでいた。


「あや…、ギルドマスター、戻りました」

「レイアさん、無理にギルドマスターと呼ぶ必要はありませんよ?」

「でも、かえでさんとふうかさんに言われてますし…」

「あの二人は楽しんでいるだけだと思いますが…。書類はたいちに?」

「はい!」

「今日はこれで終わりですので、帰宅していただいて構いません」

「まだ仕事ですか?」

「メイカルトは交易都市ですから」

「あやかさん、無茶してませんか?」

「レイアさん、私はレイアさんがエースになってくれたことに感謝しています。ですから、私もそれに応えなければなりません。それに…、今は仕事を強制終了させてくれる人がいますから」


 あやかは首にかけている角のペンダントを軽く触りながら、困りつつも柔らかい笑みで私の問いに答えた。


「じゃあ帰ります!」

「お疲れ様でした」


 私たちは受付でたいちから報酬を受け取り、メイカルトを後にする。


「よし!家に帰ろう!」

「おー!」

「おー!」


 私たちは西門から外に出て、ハーベ村を目指す。そしてハーベ村の近くに降りると、ノココの大きさで村のみんなに私が帰ってきたことが伝わる。私たちは外にいる村人に挨拶をして、自分の家に入っていった。


「ただいまー」


本編はここまで。

明日の更新が最後です。

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