第九話 忘れてはいけない話し
今晩は。ちょっと遅れました。
投稿です。
「本多は戦い続けたが、多くの傷を受け、ついに倒れた」
ヒュウと夜風が吹いて、灯火が激しく揺れた。
俺は灯火を揺らした風にさえ、怒りを感じるようになった。
話しを聞くだけしかできないのだ!
もう助けには行けないのだ。
「倒れた本多は、門王と姫に加護を祈り、助けを求めた」
……精霊は気配だけで目覚めない……
「本多はその最後の灯火を門王と姫に捧げた。すると、その祈りは姫に届いた。目覚めた姫はその眷属と共に悪鬼どもを討ち払った。しかし、悪鬼は強かった。悪鬼はどうしてもエルフや山羽、白鳥の命が欲しかったのだ」
!
「戦士本多は武器を握り締め、大地に帰った。それを見たアンキロは怒り狂い咆哮する。アンキロは主との約束を守れなかった。悔恨、後悔、その怒りと悲しみは門王を呼び覚まし、共に悪鬼を討ち滅ぼした」
俺はそっとアンキロザウルスの化石に目を移す。
ただのレプリカだと思っていたけど?
「悪鬼は滅んだが、アンキロの怒りは収まらない」
「え?」
「アンキロは主との約束を守れず、本多を失ってしまった。怒り狂い、その怒りは力及ばなかった街人、戦いから逃げた者達に向けられた」
……種さえ無ければ……
……街は襲われないのでは……
……悪鬼、死霊は囁く、種を差し出せば街は安泰だ……
……あの種は街に禍をもたらす種だ……
「心ある戦士はその言葉を討ち払ったが、心ない戦士は全てその言葉に飲み込まれ、悪鬼になった」
「!……オトネ、これは恐ろしい話しだな」
「そぎゃんたい」
「悪鬼は門王と姫、アンキロと戦士達に挑み、全て返り討ちにされた。アンキロの怒りはそれでも収まらす、周囲に禍をもたらすようになった」
……怒りは何も生まない……
……悲劇が繰り返される……
「狂竜アンキロは門王に討たれ、死の間際、もう一つの命を思い出す。戦士陽野の言葉、種を守れ」
……そしてアンキロは、エルフの種の横で眠りについた……
……我らは今、数多くの……戦士達の屍の上に立っている……
……戦士の死を忘れてはならない……
……我らの足の下には、沢山の戦士が眠っているのだ……
……決して忘れてはならない……
「ミドリやひかり、本多さんや陽野、目の前のオトネや白鳥さんが俺を守ったのか?」
「そぎゃんたい」
「陽野や本多さん、緑やひかりには、もう、お礼の声も届かないのか……」
「……」
オトネは沈黙し、何も語らなかった。
次回サブタイトルは未定です。
投稿も未定です。




