第六一話 日常 名は伏せて
今晩は。
投稿です。
今回は2話分です。
ここで陽野が喋り出した。
「む、昔、へ、平安時代っ!仁義に厚い、と、とても厚い義の武将がいた!そ、その人が板東国の王を名乗っているっ!」
「だ、誰だ!?その人は!?」
俺は湧き上がり、群がる怪物どもを斬り伏せながら叫ぶ!
「い、言えないよっ!」
は?
なんで?
「そ、その人はっ!日本三大怨霊が一柱なんだよっ!こえーよ!」
「え゛!?」
大量の緑色の血液を吹き出しながら倒れるゴブリン。
非現実感がつきまとう。
ふっ、と思う。
これは夢ではないかと?
太刀を振るう自分が今だ信じられない。
……見よ、あの若者を……
「?」
それはオトネが刀を渡したサラリーマン。
自然と目が捉えた。
……くるなっ!あっちへ行け!何してんだ!ひいいっ早く助けに来いよっ!……
刀を振り回し、ゴブリン共を追い払っているが、喰われるのは時間の問題だ。
助けに行こうにも、こちらはこちらで大変なんだが。
……あの者、欲に溺れればあのまま悪鬼になる……
「!?」
……自分が助かることしか考えておらん、嘆かわしい、あの者あれでも板東武者か?……
板東武者?いや、どう見ても普通のサラリーマンだろ?
……花の都の下町に生れ、強い大人を夢見て生きていたが……
え?知り合い?
……ふふっ、板東国に生れた者は皆知っている、精霊とはそういう存在だ……
精霊!?
陽野は怨霊と言ってたけど!?
誰だこの人!?
……日々の暮らし、上の者からは無法を、下の者からは嘲笑を、周りの者こそまさに大鬼、小鬼ではないか……
「……それは、日々の仕事は大変と聞くけど……」
……惜しい、あの者、憧れが上回れば戦士に還るだろう、欲が上回れば悪鬼に堕ちるであろう……
憧れ?なんだそれ?
ゴブリンを斬り伏せ、次のゴブリンに太刀を向けると……あれ?
ゴブリン共が怯んで下がった!?
俺の目の前に風が起きる!それは、小さな竜巻?
その竜巻に光る小さな球が集まり、人の形に成っていく。
あの生首のお侍さん?
「え?」
だが、現われたのは豪華な着物を纏った、小さな女の子だった!
コケ-!?
綺麗な着物だなぁ。
いやいやそじゃなくて!
群衆にいたっけ?着物の女の子?
非現実感がつきまとう!
いや現れ方が異常だ!
この女の子、人か?
女の子は俺を一瞥し、陽野と目を合わす。
あ、陽野のヤツ、固まったぞ。
……よき心掛けじゃ!我がととさまの名を軽々しく呼ぶでないぞ?……
ととさま!?
お父さん!?
次回 第六二話 日常 SSR の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




