第五八話 非日常 崩れゆく世界の
武器を持ったゴブリン共は強かった。
どこで覚えた!?
辛うじて制圧したが、俺も白鳥さんもボロボロになった。
「オトネ、どう思う?」
「なんね?どうとは?」
「俺も、白鳥さんも普通に戦っている、お前もだ、違和感なくゴブリンどもやザリガニの怪物達を倒している」
「……恐怖ば感じないと?」
「そうだ、当然のように倒している、俺がこんなに強いのはおかしい、それにこの姿もだ!お前の意見が聞きたい」
「憶測ばってん、これは憑依現象じゃなかか、と思う」
「憑依!?」
「そぎゃん、俺っ達は異界の幽霊みたいなモノに取憑かれたと思う」
「……不思議な考えね」
「白鳥さん、じっとしていて」
俺は白鳥さんの槍傷に手を当てている。
「恥ずかしいんだけど」
俺の手はボンヤリと銀色に輝いている。
その銀色の光は白鳥さんの傷口を止血し、塞ぎ始める。
……ヒーラーか?俺は?
でも、なんでこんなコトできるんだ?それに知っているんだ?
本来なら、白鳥さんはこんな傷、負わない。
新月の3日間だけは、獣人族の能力が下がる。
今が満月期だったら、彼女は無敵チートモードだったのだ。
この知識も自然と湧いてきた。
誰が取憑いたんだ?なんで俺なんだ?
まぁ、この能力のお陰で、助かっているけど。
ヲフヲフ。
「お?コマたそ、怪我はしていないか?助けてくれてありがとう、ん?矢が刺さっているな、白鳥さんが終ったらコマたその治療だ」
そこにお婆さんがやって来る。
「コマよりもあんただよ、班長さん、あんたも酷い怪我だろ」
「見た目ほど酷くないですよ、同情してもらおうと、弱ったフリをしているだけです」
世界中、こんな状況なのだろうか?
助けはおそらく来ないだろう、自力でどうにかしなければ。
そう、ここは崩れゆく世界の片隅。




