第六八話 番外篇 北からの訪問者 後編その1
今晩は。
投稿です。
すみません、後編で終りませんでした。
ですので、後編その1となりました。
その日から、ティブイは旅の支度を始めた。
両親には感謝しているが、この想いは止められない。
密かに、確実に旅の用意をし始めるティブイ。
まずは武器、食料は現地調達をメインに。
ああ、基本、全て現地調達だな、とか考えて丈夫な靴を用意し、魔力の高い皮や布で装備品を作り始める。
両親はうすうす気づいていたが、止めなかった。
いや、止められなかった。
父親は反対した。
都は遠い、途中異界の魔物どもが山ほどいるはず、辿り着くとは思えない、父親はティブイの説得を試みたが、ティブイは聞く耳を持たなかった。
母親は賛成した。
行きたいのなら、行きなさい。心、命ずるままにです。
ベニトラは戸惑うばかりで、何もできなかった。
「おい、かぁちゃん、ねぇちゃんが心配じゃないのかよ?」
「心配よ、一人娘だし、でもどうしたら?止められない、あの子の想いは……」
「んじゃさ、一緒に行けばいいじゃん心配なら」
「……そうね、でも私には私の道があるのよ」
「オリ、一緒に行っていいか?」
「あなたはまだ小さすぎる」
「あんだよ、身長か?オリ、本気出せばけっこう強いぜ?」
「……あなたまで旅立つのですか」
「!」
母親の悲しいお顔を見ると、何も言えなくなるベニトラ。
(オリ、どうしたらいい?ねぇちゃんは好きだし、かぁちゃんは大事だ)
「とうちゃん!」
父親は黙って俯いているだけである。
「……なにカッコつけてんだよ!考えるフリなんかやめちまえ!」
「これ!トラ!お父さんになんてことを!」
母親の叱責を無視し、外へ飛び出すベニトラ。
(……オリは……どうしたいいんだ?)
静かに陽は暮れ、夜が来る。
そしてその夜、静かに家を出るティブイ。
街外れまで来ると、そこには数十人の大人達が待っていた。
……行かせるわけにはいかん……
……花の都?辿り着けるとでも思っているのか……
……結界外はまだ危険過ぎる……
……引き返せ……
……死んでしまうぞ、見過ごせん……
「こうなるから、こっそり出て行こうと思ったんだけど……力ずくでも通させてもらうわ」
……ははっ、出来るか?……
……見事我らを倒せるか……なっ!?……
3名ほど吹飛んだ!
「……お婆ちゃんが死んでから、前世の記憶が蘇った……私には、お婆ちゃんの力も宿っている……」
ヒュン!
氷の矢が大人達の足を貫く!
「私は……手加減できる相手ではありませんよ?」
スタスタと中央を歩き出すティブイ。
正面に立った2m程の男が腕を伸ばす!
(手の動きが不自然だ、これは見せかけだ!)
一瞬で見抜くティブイ!
そう、これはフェイントである。
すっ、と膝を落とし殺人的なスピードで回し蹴りが放たれる!
下がると、確実に次の攻撃がヒットする。
最初の蹴りは回避されると想定しての二段構えの攻撃だ!
ティブイは恐れること無く前へ進む!
……!……
間合いを狂わされ、二段攻撃も読まれ効果なし!
ティブイは軸足を払い、腰を掴むと投げ飛ばした!
「え?」
投げ飛ばした方向に垣間見える黒い影。
街中の大人が集まったのか?人数が増えているのだ。
(走って逃げるか、それが一番だな)
……おいおい、走って逃げるか?……
「チッ、読心術?」
ヒュン!
「!?」
矢が足を貫く!
「くっ!?」
……街へ帰れ、ここまでだティブイ……
「……誰が帰るか!私は花の都へ行くんだ!」
次回サブタイトルは 第六五話 番外篇 北からの訪問者 後編その二 です。
毎回ご愛読ありがとうございます。
その二で終るかなぁ。




