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破滅世界の俺、エルフ。(2025.12)  作者: MAYAKO
第二章 西への旅

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第六七話 番外篇 北からの訪問者 中編     

今晩は。

投稿です。


 この二人、周囲から見れば異質であった。


 ナマハゲの一族は子供でも170㎝は軽くある。

 この一族は決してイジメなどしないが、周囲は違った。

 人族や妖精族、ドワーフの子供達が小さい二人をからかい始めた。

 それは段々とエスカレートしていき、一方的な暴力になった。


「やめな、お前らそれじゃ外の(結界の外のことです)ゴブどもと変わんねぇだろ」


 ティブイが注意する。

 それは警告でもあった。これ以上はするなよ、と。


「……悪い子戒める、ナマハゲ一族のオリ達が、イジメに遭うとはこれ如何に?」


 面白がり屋のベニトラは、誰とはなしに問い掛ける。


「おねぇちゃん、逃げる?それとも?」

「……」


 いつもは返事をしてくれる姉が、最近はしてくれない。

 何を考えているのだろう?

 ベニトラはそっちの方が心配である。


 ……なんだこのチビ!……

 ……戒める?できるのもか!……


 10人近くいる人族、妖精族の子供達。


「……悪い子はいねぇがぁ……」


 ベニトラが呟(つぶや)く。

 その目は真剣で、妖しく光っていた。

 みな笑ったが、その笑いが一瞬で恐怖に変わる!

 辺りが真っ暗になったのだ!

 陽は高く昇っているが、暗いのだ!


 ……え?……

 ……ひっ!?……


 そしてボコッ!と大地から、鬼の生首が無数に現れる!


 ……わるいごはいねぇがぁあああ……


 青白く光り、飛び交う鬼の生首!


 ……ひいいいいいいいっ!?……

 ……ぎゃあああああっ!……


 走り出し、逃げ去るが思うように動けない!悪夢の感覚だ!

 鬼の生首は、それぞれの子供に憑いて飛んで行く!

 家に帰っても生首は家の周りを飛び交い、時々窓から中を覗く!

 それは、もう悪いことはしません、と誓いを立てるまで何日も続いた。


 さて、この子達の親はどうしたか?

 親はナマハゲの一族に猛抗議したが、ナマハゲ達はどこ吹く風ぞ。


「お前の子等は、それだけのことをしたのだ、あれは応じ返しの術、100の悪行は100の報いを受ける、99でも101でもない。ちゃんと育てないと心を異界の者に喰われ、ゴブリンになるぞ!」


 そう言って、あとは無視した。

 これ以降、イジメは無くなった。


 ベニトラは両親と田んぼ仕事の帰り、姉を見つける。

 今日も姉は山の方を向いている。


「なぁ、おねぇちゃん、何を見ているのだろう」


「……」


 両親は答えない。

 何か知っているようだが。

 家では、ちゃんと夕餉が用意してあった。

 姉は抜かりないのだ。

 食事後、ベニトラは姉に尋ねる。


「なぁ、おねぇちゃん、何を見ているんだい?いつも山の方を見ているけど」


「……花の都に行きたい」


「え?」


「あそこに、私を待っている人がいる……いや、私が待っていた人?」


「え?何を言っているんだい?花の都?伝説の街じゃん!」


 姉はこの街から出たことが無い。それなのに待っている人?この姉は何を言っているのだ?ベニトラは困惑する。


「最近親がうるさい!結婚しろとか、嫁に行け婿(むこ)をもらえ?とか。私はやることがある、花の都に行きたい」


「花の都に誰がいるんだい?」


「オトネくんよ」


「オトネ!?……誰だよ!それ!」


 この姉は、何を言っているのだ!?

 ベニトラはとんでもなく心配になる。

 どうする?シャーマンに聞いてみるか?

 あ、シャーマンはオリのばぁちゃんで、もうこの街にはいないのだ。


「ん?まて……聞いたことがあるぞ、その名前!」


 ベニトラは考え始めた。


「そう、オトネくんよ!」


 姉は涙ぐみ、遙か山向こうの地、花の都に思いを馳せる。


「あ!?オトネって、数百年前の大侵攻の時、異界のラスボスと戦った戦士の一人だろ?」


「そう、そのオトネくん、もう起きているのかなぁ……逢いたい……グスッ……」


 いつから我が姉はメンヘラになったのだ?

 会ったこともない英雄に想いを寄せる?

 ベニトラは、それ以上何も聞けなかった。

次回サブタイトルは 第六八話 番外篇 北からの訪問者 後編 の予定です。

……たぶん、あと1話では終らないと思います。

サブタイトル、どうしよう?

毎回ご愛読ありがとうございます。

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