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春風  作者: はるき
2章
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10/22

春風

?:僕の容姿が良いと気付いたのは、小学生のときひっそりと教室の隅で本を読むことができなくなったときだった。


中学生になった。人間関係に悩むようになった。目立つから、角が立たないように優しくしたら、八方美人だと言われ、仲が良い奴といたら、群れて調子に乗っていると言われた。それから、中身のない発言をするようになった。ウケるとか、それなとか。そうしたら何も言われなくなった。八方美人かと言われれば、良い顔するような発言はしてないし、群れてるかと言われれば、そんな風にしたそうな言動もない。平穏が訪れたが腹が立った。容姿に中身を乗っ取られるなんてバカみたいだ。そのまま勢いで大好きだった部活を辞めることにした。トラブルメーカー呼ばわりで、距離をとる奴が多かったけど、世界線が違ったら気が合いそうだなと感じたけど、僕が一方的に思っているだけかもしれない。同級生は悲しんでいる奴もまあまあいたと後で聞いた。僕のことを悲しむほど知らないくせに。


部室を去る際、1年生のときに、


「俺の彼女がお前のことが好きだから別れたいって言ってるんだけど」


と怒鳴りこんできた先輩と鉢合わせをした。


「辞めるのか」


だったらなんなんだろう……。


もう大切なものはたくさん溢れ落ちてしまっているのに。


幼なじみのサッカー部で同じ奴と帰っていた。

気付いたら、そいつは泣き始めていた。


僕のことを比較的よく理解していた奴だった。いや、壁を作っている僕に彼以上に僕を理解できる奴なんていなかったのかもしれない。守れなくて、ごめん。何も出来なくてごめんと泣いていた。僕も泣きそうになったけど、昨日夜1人で泣いたから涙は出なかった。


「高校はサッカー部に入るの?」


高校は別々になることは薄々お互い察していたと思う。仲の問題じゃなくて、目指す高校がただ違うだけ。


「帰宅部かな」


そいつはもっと泣いた。


「将来はどうするの」


「幸せになりたい」


そいつはまた泣きじゃくりながらごめんと言った。違う、僕と関わる奴みんな幸せになるんだよ。


「今までありがとね、とりあえず僕のことを誰も知らない高校に行くよ」


別れ際、そいつは明日僕の家で送別会やるからと言った。僕のことを気に入っている奴だけを呼んでくれるらしい。


送別会は人生で指折りに入るくらい楽しかった。


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