第15話 日曜日と休校日
何か取り返しのつかないことが起きているのに、何もできない。
焦燥感に似た感覚に、ずっとのしかかられていた。
そんな日曜日と、翌日の休校日。
そうかといってどこにも出かける気にならず、二日間、ほとんど部屋で過ごした。
疲れのせいか、何度も短い眠りに落ちた。
寝て起きればあの世界に戻ったりしないかとも思ったが、そんなことは起きなかった。
そのかわり、あの借家に戻っている正真正銘の夢を、何度も見た。
目覚めて、落胆する。
その繰り返しだった。
時間が経つにつれ、自分の主観はどんどん頼りなくなり、やがてほとんど信用できなくなっていた。
考えてみれば、とても単純なことだ。
自分とあの村尾さんが一緒に生活するなど、どうしたってあり得ない。
やはりあれは、合宿で気持ちが高ぶっていた自分が、単に睡眠中の夢として見たものに過ぎないのだろう。
そう折り合いが付きはじめていた。
――あんなに、近くにいたのに。
◇◇◇
明日は登校日、そんな月曜の夜。
自分のスマートフォンに、メッセージが入った。
クラスメイトからだ。
ドキリとした。
何が書いてあるのか。
異世界転移が夢でないのなら、このクラスメイトも転移していたはずだ。
気持ちを落ち着かせるように、ただスマートフォンのホーム画面を見つめる。
どうせ、意味もない挨拶か、忘れ物か、そういう話だ――
自分に言い聞かせる。
そして、メッセージを開く。
指が震えていた。
目を閉じる。
一度息を吐いてから、ゆっくりと目を開いた。
メッセージの文字が、画面に映っていた。
『相良も、異世界の記憶ある?』
メッセージをしばらく凝視した。
見間違いではないことを確認するように、この短い文を何度か読み返した。
間違いない。
目を閉じて、顔を天井に向けて、深く息を吐き出した。
この二日間で体に溜まったものを、一気に全部吐き出した気分だった。
夢ではなかった。
異世界転移は、確かにあった。
彼女とのあの日々も、確かにあったのだ。
なら――
明日、自分は彼女と話すことができる。
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