↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つぎはぎ  作者: 妄想する紙片
2nd ストーリー
312/322

新たな依頼 5

「『二面の聖女』はテレノフェテルにあります。そこにある古本屋が昔からの馴染みでして。そこの店主が手に入れたと連絡をくれました」


「テレノフェテル……コビナレ川の上流、ポリタズとの国境沿いの街か」


 ポラーレの説明にルーチェが右手をあごに当てながら続けて話す。視線はぼんやりと足元をさまよわせていた。


「その通りです。そこにいるリブロ・べチオという人物が持っています」


 そう言ってから通信端末を取り出し、操作を始めたポラーレ。


「彼はなかなか多忙でして。受け取りに来る時間を何日か提案してきています。もし、難しいようであれば、別日を再設定する形になると言っています」


「そ、それって……ついでで対応するような依頼じゃない気が……」


「リブロとは古い付き合いなので多少のことであれば大丈夫です」


 アナリズの疑問に軽い口調で答えたポラーレ。目を見開いたアナリズはルーチェの方へと視線を向けた。ルーチェはその視線を受け止めるが、小さく首を横に振るにとどめる。


「それで? その受け取りというのはいったいいつ?」


「それについては多少時間があります。といっても三日後ですが……」


「い、いくら何でも!」


 アナリズが声を荒げた。同時に顔をルーチェに向け、一歩近づいた。ルーチェはそれを手を向けて制する。アナリズの足が止まった。


「……ポラーレ。つまり、私にそれまでに体調を戻せ、ということ?」


「可能であれば……ですが。さきほどもお伝えしましたが、多少の日程調整は可能です。ただ、できれば今の予定通りにしていただければ、こちらとしても嬉しいのですが」


 通信端末から目を離して、ルーチェの方を見てきたポラーレ。そこにはわずかに顔が緩んでいるだけで、メガネの向こうの目は真剣そのものだった。ルーチェは黙ってその目を見る。それから、小さく、しかし、わかるようにため息をつく。


「相変わらず、無茶なことばかりをいう」


「申し訳ありません。ルーチェさん」


「日程はそのままにして。それまでに何とか動けるようにする」


「ありがとうございます」


 ポラーレが深々と頭を下げた。


「だ、大丈夫なんですか? 昨日まで起きられなくて、今だって座っているのがやっとじゃないんですか?」


 アナリズがルーチェを見下ろしながらたずねてきた。ルーチェはあげていた手を下げながら答える。


「大丈夫かといわれたら、動けていない以上何も言えない。でも、あと三日ある。移動も考えれば二日。何とかするしかないし、動いていく」


 そう言ってふらりと立ち上がるルーチェ。足元がおぼつかず、バランスを崩しかけるが、何とか立て続けている。目の前に立つアナリズと目を合わせている。


「ふらついてるじゃないですか?」


 アナリズが真正面から告げた。


「そのようですね。ルーチェさん。リブロの日程を調整しますか? 無理をさせているのはこちらですが、難しければ……」


 ポラーレの声も少し低くなった。眉根が寄せられ、話してから小さな吐息が漏れていた。


 ルーチェは首を横に振る。


 同時にドアを叩く音がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。