↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つぎはぎ  作者: 妄想する紙片
2nd ストーリー
309/323

新たな依頼 2

「ポラーレ。痛い」


「ぽ、ポラーレさん?」


 アナリズがポラーレに近づきながら声を上げた。


「おや? そうでしたか。力を入れ過ぎましたね。申し訳ありません」


 ポラーレはアナリズを無視して、ルーチェの手を放してから頭を下げた。すぐに顔を上げて、ポラーレは続けた。


「ですが、感覚や力が入っているようなので、安心ですね」


 言って、ポラーレは座った姿勢を直した。背筋を伸ばし、胸を張った。柔和な表情は少しかげりを見せ、メガネの向こうの目がわずかに細くなった。


「今回の治療の代わりといっては何ですが……」


 ルーチェは外からではわからないほど、小さな動きで唾を飲み込む。計ったかのようにポラーレが続けてきた。


「簡単なお仕事です。あるものを受け取ってきてほしいんです」


「えっ?」


 ニヤついた顔でルーチェを見てきたポラーレ。口から出た言葉とともに、ルーチェは目を丸くしてポラーレを見る。ポラーレがどこからかクリーム色の手帳を取り出した。それを開きながら、話し始めたポラーレ。


「お願いできませんか? ルーチェさん?」


「……別にかまわないけど、それは持ってきてもらったり、運んでもらったりはできない? ポラーレが取りに行くとか?」


「ルーチェさんの言いたいことはわかります。確かに取りに行くのが一番なんですが、少々事情がありまして。受け取りに行くことができないんです。もちろん、相手に持ってきてもらうのも少々難しい理由がございまして。かといって、運んでもらうのも少々怖いものがございまして…………」


 ポラーレは手の中にある手帳をパラパラとめくりながら、話し続けてきた。その手の動きが止まった。そこで口角をあげた表情でルーチェを見てきたポラーレ。


「ルーチェさんの調子さえ戻っているようであれば、ぜひお願いしたいと思いまして。信用できない人にお願いするよりも、やはり頼りになる人に……というところです。受け取りに行ってもらえませんか?」


 イスに座った姿勢のまま、身を乗り出すようにして距離を詰めてきたポラーレ。ルーチェは手をベッドについて倒れないように身体を支えた。


「そ、それで? いったい何を取りに行ってくればいい?」


 ルーチェの答えを聞いたポラーレの表情が一気に明るくなった。ポラーレはその表情のまま、元のイスに腰を下ろした。ルーチェはポラーレの動作に合わせて、小さく息を吐き出す。吐きながら手の位置を戻し、座り直す。


 ポラーレはルーチェが姿勢を直し終えたところで口火を切った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。