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つぎはぎ  作者: 妄想する紙片
2nd ストーリー
304/323

どこへ向かうのか 3

 言葉とともにベッドに置かれていたルーチェの右手をつかんだアナリズ。視線はずっとルーチェの右目から動かなかった。


「…………見つけられる保障なんてない」


「わかっています。でも、一人では気づけないことも二人なら……」


 喰い下がってきたアナリズ。


「…………」


 ルーチェは何も答えず、間近にいるアナリズの顔を見続ける。


「お願いします……」


 懇願してきたアナリズ。二人の言葉が止まった。


 ドアが開く音がした。


「お水、持ってきま——何してるんですか! アナリズ!?」


 ドアの方へと視線を向けると、そこには水の入ったデキャンタとコップをのせたお盆を持ってきたオリチェがいた。そのオリチェが大きな声を出しながら入ってきた。


「アナリズ! とりあえず、ルーチェさんから離れて!」


 大きな足音を立てながらルーチェの方へと近づいてきたオリチェ。明らかに眉毛がつり上がっていた。


 その様子を見てか、アナリズはルーチェの手を放してベッドから離れていった。遮られていた光が再びルーチェに降り注いだ。


 オリチェがベッドの近くにあるテーブルにお盆をのせた。その手つきはゆっくりとしたもので、カタリと小さな音がしただけだった。置いた直後だった。オリチェがすぐさまアナリズの横まで来て、腕を引っ張った。


「い、痛いですよ! オリチェさん!」


「アナリズ! 何してたの!? 女の人に覆いかぶさろうとしてたじゃない!」


「ご、誤解です! そんなことしてません!」


「オリチェ。落ち着いて」


「いーえ。こういうことはしっかりしておくべきです!」


 ルーチェの言葉もオリチェには届かなかった。オリチェはアナリズをルーチェの部屋から追い出そうと引っ張っていこうとした。


「これだから! さっさと出て行って!」


「ぼ、僕は何もしてませんって!」


「オリチェ!」


「は、はい」


 ルーチェの声にオリチェが大きく返事をした。ベッドから動けないルーチェはオリチェの方をじっと見る。オリチェと目が合う。そのタイミングでルーチェは口を開く。


「とりあえず、落ち着いて。アナリズは何もしてない」


「……ルーチェさんがそういうなら……。わかりました」


 オリチェが一つ息をつきながら、アナリズの腕から手を離した。アナリズがつかまれた場所をさすっていた。


「二人ともこっちに」


 ルーチェが二人を呼ぶ。一度だけ、顔を見合わせ、何も言わずにルーチェの元に来た二人。横に並んだ二人はじっとルーチェの方を見ていた。オリチェはメガネ越しに少し目を合わせてはずらしていた。アナリズは伏し目がちにルーチェを見ていた。


「オリチェ。とりあえず、びっくりさせてごめん。何にもないから大丈夫。ちょっと私の身体が言うこときかなかったから抑えてもらっただけ」


「そう、だったんですね。大丈夫なんですか?」


「何とかね。痛みでまだ動かせないけど」


 オリチェはそこで口を閉ざした。メガネのレンズの向こう側の目は少しうるんでいた。


 ルーチェはアナリズへと視線を動かす。目を合わせるよりも早く、ルーチェは口を開く。


「アナリズ、さっきの話だけど、受けるよ」


「る、ルーチェさん」


「お互いのために、ね」


「はい」


 そう言って頭を深々と下げたアナリズ。


「オリチェ。水もらってもいい?」


 そう言って、ルーチェはオリチェに水をもらった。


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