目が覚めて 3
「えっ? あっ、はい。わかりました。……カレンダーは……これだな」
持っていたものをすべて元に戻したアナリズ。カレンダーだけを持って近づいてきた。両手で収まる程度のカレンダー。アナリズは再び同じ目線へと戻り、ルーチェにカレンダーを見せてきた。カレンダーの一部に指をあてていた。
「ピエノパッチに戻ってきたのが、この日です。それから、今日はここです」
アナリズの指がカレンダーを滑るように移動していった。そして、小さくトンッという音がして、指が止まった。
「三日……それだけ寝ていた……」
「はい」
カレンダーを持ったまま、ルーチェの言葉に首を縦に振ったアナリズ。
ルーチェは、顔を天井に向ける。一度目を閉じ、ゆっくりと息を吐き出す。それから目を開く。天井から吊るされていた照明を見る。
「アナリズ」
「な、なんですか?」
視線を向けることなく、ルーチェは話し続ける。
「この三日間にあったことを教えてほしい。何があった?」
言い終えたルーチェはそこでアナリズへと視線を向ける。アナリズのほうは、カレンダーを持ったまま、左目だけでルーチェを見据えてきた。
「……お伝えしないといけないこともあると思います。なので、順を追って説明します」
アナリズはカレンダーを元のチェストの上に戻すと、ルーチェの横まで来て、腰を下ろした。ルーチェはそれをじっと見ている。
「まずはルーチェさんが意識を失い、ベッドに寝かせてからのことです。マスターとオリチェさんで全身の状態を確認しました。お二人とポラーレさんを含めても治療が難しいという話になりました」
「…………」
「ポラーレさんがアルテファットの技師を呼びました」
その言葉を聞いたルーチェは、自らの右腕へと視線を向ける。
「見ますか? 右腕」
アナリズの問いにルーチェは首を縦に振る。アナリズが立ち上がって、ベッドの反対側まで行った。そして、掛け布団をわずかにめくった。隠れていた右腕だけがあらわになった。包帯が何重にも巻かれた右腕。
ルーチェは自らの右腕をじっと見ている。わずかに震えながら、数センチだけ右腕があがっていった。
「る、ルーチェさん。まだ動かさない方が……」
「そう……だが、な」
言ったと同時に右腕がベッドの上に音を立てて落ちた。落ちた右腕には再び力が込められ、何度も指が開いたり閉じたりしていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫……それより、続けて。手を動かしながら聞く」
「それって無理してると思うんですけど……」
「いいから!」
大きな声をぶつけられたアナリズが小さく身体を震わせた。それからルーチェを見た。瞬きをせず、瞳が揺れていた。
「え、ええっと。ルーチェさんのアルテファットを治療した技師が合わせて全身の状態を確認していました。僕はその場にはいませんでしたが、マスターに聞いた話だと左脇の内出血がひどかったみたいです」
「どうして、離れた?」




