目が覚めて 2
「ここに帰ってきてからのことを教えてほしい。アナリズに頼って帰ってきたところまでは何となく覚えている。ただ、その後のことが……」
「……オリチェ。ルーチェさんが目を覚ましたこと、マスターに伝えてきますね。あと、お水も持ってきますね」
話すだけ話したオリチェがルーチェの部屋から出ていった。ドアを閉める時に小さく頭を下げていたのが見えた。カチャリと小さくドアが閉まる音がした。ルーチェはそれを見届けてから、アナリズへと視線を戻す。
アナリズはルーチェを見ながら、ガタガタと何かを動かした。それから、視線を合わせてきた。アナリズの左目だけがルーチェをじっと見つめてきた。
「ルーチェさんは、ここに戻ってきてからすぐに眠ってしまいました。確認するまで気づかなかったんですが、全身色々なところから出血していました。特にひどかったのは……」
左目が動いた。視線はルーチェの右腕に向けられていた。ルーチェは右腕に力を込めようとするが、痛みが走り動かすことができない。わずかに掛け布団が盛り上がったが、バフッという音がして平らに戻っていった。
アナリズはその様子を見ていたが、視線をルーチェに戻して続けた。
「ルーチェさんはアルテファットを盾にしていることが多かった。その結果、かなりの損傷が蓄積していました。次にひどかったのが左の脇腹。完全に紫色になっていました。生身の身体であれだけの状態になっていたら、痛みで意識はなくなっていてもおかしくないほど……」
アナリズの言葉に促されたルーチェは自分の左脇を見ようとするが、掛け布団がかかっていて見ることができない。めくることもできず、ルーチェはただじっと自分の左脇のある方へと視線を向けるだけになる。
「それでもあなたはピエノパッチに帰ってくるまで意識を保っていた。正直驚きました」
「……きいていい?」
「何ですか?」
「私が倒れてから何日経った?」
ルーチェの問いに、アナリズは首を巡らせた。
「どうした?」
「あっ、えっと……カレンダーがないかと」
「それなら、チェストの上にないか?」
ルーチェに促されたアナリズが立ち上がり、チェストへと近づいていった。それから、上にあるものを持ち上げた。
「そ、それらしいものないですが……」
アナリズが身体を半分だけ捻ってルーチェを見てきた。ルーチェはその姿を見ながら、静かに口を開く。
「……写真立ての下。そこにない?」
言われるままに写真立てを持ち上げたアナリズ。
「写真は見るな」




