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第19話 木登りは裸足の方が良い

 

 ジュニアはタロサを抱いたまま空を飛んでいた。


 いや、タロサもジュニアに抱きついていたから、正確には小さな2人が抱き合って空を飛んでいた。


 見上げると朧の満月があり、見下ろすと川も池も畑も家もパノラマのように見え、その間を豆粒のように人々が走っている。


 タロサは空中で向きを変え、地上に向かって光の玉を吐いた。


 (カッ)


 光は一直線におババに当たるのが見えた。


 地上の悲鳴がジュニアにも聞こえた。


 「やめるの。こんな事しちゃダメなの」


 ジュニアはタロサの頬を両手で挟んで言い聞かせた。


 空中には一方向に春の風が吹いていて、花の香りがした。


 タロサはちょっと空中に留まっていたが、風の流れる方向に飛び始めた。


 行く手にひときわ高く大きな木があり、その木の上に殿様がいた。


 裸足だった。


 殿様の足は顔や尻尾と同様、白い毛で足の裏まで厚く覆われ、今は木に登るのに都合の良さそうな爪も出ている。


 そして笑顔だった。


 牙は見えているがいつもの威嚇とは違う、何かが嬉しくてつい笑ってしまった風な自然な笑顔だった。


 殿様は木の上で距離を測っていたが、ジュニアたちが木の側の一番近くを通る瞬間、すかさず飛びついて、2人を捕まえる事に成功した。




次回は第20話「龍の化身」です

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