【4】
当日。
チラシの効果もあり、満員御礼の大繁盛。これには団長も超のつくご機嫌。
目玉だからねー頼むよー。と二人の魔女へ衣装を手渡す。
派手な衣装は如何にもルナの好みだった。借り物の衣装に着替えると、いよいよサーカスの始まり。
大きな音楽に合わせて、次々と出し物が披露されていく。
ジャグリングにトランポリン。綱渡りにアクロバテっく。どれも大きな歓声が湧き、観客の興奮は最高潮に。
そして、いよいよ魔女達の出番。
先に登場したのは、ルナとクロのペア。
小さな黒猫の登場に、会場は困惑していた。
え? 猫?
何だよ猫かー。猫に芸なんかできるのか?
そう心無い声もちらほら。
クロは内心予想していた事に、肩を下ろす。
それでも、やるべき事はやらなくてはと、練習通りに障害物を越え、小さな輪潜りをし、
数字当てを終えた頃には、小さな黒猫に拍手が送られえていた。こんなに賢い猫は今まで見たことがないと、勇者を讃えるように。
最終奥義。
火の輪潜りに差し掛かり、燃え盛る炎が現れると、観客は小さな黒猫をじっと見つめて応援していた。
単なる動物なら、炎を怖がるのでしょう。けれど、クロは違った。
すっと立ち上がると、火の輪を華麗に潜り抜ける。
大きな拍手が巻き起こる。その光景を目にし、クロには達成感が湧き上がった。
「ほら、大丈夫だったんだわ。さて、ここでサプライズをするんだわ」
その言葉に急激に嫌な予感がする。
手品のように箱を用意し、そこにクロを抱えて入れる。そして、観客に見えるようにしっかりと鍵をかけた。
ちょっ——え? ルナ様! 聞いてませんよ! こんな事!
心の中で叫ぶ。
「ファンタステック! タネも仕掛けもないこの箱。なんと、この箱はこれから華麗に爆発します。でも——ご安心を。黒猫ちゃんは無傷で生還致します」
でぇぇぇぇぇぇぇ! ちょっとーおやめください! 本当にタネも仕掛けも無いじゃ無いですかー。ルナ様ー。
「いっくよー。ナッツボンバー!」
ルナさーまーーーー——
大きな爆発音。
それと同時に、花火が散り、虹色の煙が舞う。空高く打ち上げられた黒猫は、くるくると回って回ってストンと着地。
観客の前に元気な姿を表した。
ニャア。と鳴けば大満足。
派手な演出と黒猫の愛らしい姿に、観客は拍手喝采を送った。
舞台袖に戻ったクロを見たローズは、その毛がややちじれているのを見て、あんたも大変ねぇ……と慰めの言葉を送った。
ローズの番は、もう言わずもがな盛り上がった。
優雅に芸をこなす純白の狼は幻想的だった。ただ立っているだけで美しく。
ローズに従うだけで拍手が巻き起こる。
サーカスはこの上なく順調に進み、ローズが観客に礼をして袖に下がる、まさにその時。
事件は起きた。
そう。
あの、桃色の狐が檻を壊して乱入してきたのだ。




