【5】
竜種を最重要候補としても、何故このような事を起こしたのか。その理由は未だ不明なまま。被害者の共通点も見つからないまま、具体的に何をすればいいのかは分からずじまい。ひとまず外の空気を吸いがてら、辺りを見て回ることになった。
ミサキに先導され、一人目の被害者が働いていたレストランへ向かう。飲食店が立ち並ぶアーケードの一角。この辺では有名な洋食屋だ。そこで早めの夕食をとり、次は二人目の被害者が勤めていたクリーニング店へ。閉店時間ギリギリだった。
翌日は三人目の被害者から順に回っていく。本当に、職業も年齢も性別もバラバラ。人柄も別段怪しい所もなく。完全に無差別と思える。
三日目。太陽が沈みかけ、川沿いの空は鮮やかな茜色に染まる。土手の下では、遊び道具を片付けながら帰り支度をしている、無邪気な子どもの声が響いていた。
「——そういえば、昼に食べたとんかつ定食美味しかったんだわ。ミサキっち後でレシピ教えて」
「りょ」
「昨日の夜に食べた、すき焼きもよ」
「かしこ」
あんまりにも手掛かりがなさすぎて、魔女達は全く関係無い話をし始める。
「あれ、何だっけなんとかランドあるでしょ?」
「あぁ、健康ランド?」
「違う違う。そっちじゃない方」
「それじゃ、ファンタジーランド?」
「そう、それ。行きたいんだわ」
「いいわね」
「ちなみに、一年前にミスティックシーが隣に出来たよ」
「まじか!」
「どっちも行ったらいいじゃない」
「賛成」
はあー。と同時に盛大なため息。
「いけない。つい、現実逃避してしまったわ」
「するよね、わかる」
「ミサキっち、悪いね案内させて」
「いいよ。これくらいしか出来なし」
「ま、終わったらランドに案内してもらうんだわ」
「おけ。それじゃ、またね」
ミサキはルナ達に別れを告げ、一人帰路に着く。
茜の空は淡く藍色へと変わっていた。
この街は、夜でも明るい。眠らない街などとの二つ名が意味する様に、賑わいを見せている。ルナ達の暮らす場所とは大違い。人も多く、それこそ魔法の様に光が輝く。
食べ物はどれも美味しい。飲食店に喫茶店。服屋だっていっぱいある。本屋に音楽屋、ありとあらゆる娯楽が揃い目がまわる。海に浮かぶ孤立した島国とは思えないほど豊か。
観光パンフレットには、各地の観光名所が多岐に渡り、どこに行くか迷う程だ。
「折角来たのに——どちくしょう。犯人とっ捕まえたら上から下まで全部行ってやるんだわ」
ルナは珍しく気を荒立たせていた。




