【1】
一通の招待状。差出人は不明。
明後日十時、庭にて待つ。
記載は一文。
謎だらけの招待状を受けったルナとローズは、ふぅと息を吐く。
「あらあら久しぶりじゃないかしら」
「三年ぶりになるんだわ」
招待状の内容に心当たりがある風な二人を、ルシアンは魔法書を読みがてらに、ちらりと窺う。
「何着て行こうか迷うわね。折角だから、新調しようかしら」
「いいね。あたしも新しいの買いに行くんだわ」
何やらそわそわと嬉しそうな雰囲気だ。
——気になる。
一体誰が差出人で、どこに行くんだ? ルナが楽しそうにする様子に、心がざわつく。
「あ、ルシアン君。明後日はあたし達出かけるから、留守番お願いするんだわ」
「え、あ、うん。わかった……」
招待状のない自分は行けない事を悟る。
当日。
「あー気になるぅ」
広い城にモモコと二人きり。ルシアンの独り言が響く。
だってさぁ、町にるんるんで出かけてさ、あんなに服とか買い込んでさ、普段はしない化粧までしてさ。あんなにおめかしするって事は、あれじゃん。合コンしかないじゃん。
「やーだー絶対やーだー」
膝を抱えて転がる。
そりゃ、俺なんか全然男として見られてないし……。この前だって、いきなり肩組んでくるし、しょっちゅう耳元で喋られるし、飲み物だって一口ちょうだいを何度やられた事か——。
思い出し赤面をする。
だーかーらー。それって、気があったら自然と出来ないじゃん? 俺は無理、出来ない。それが出来るって事は、俺に気はないって事でしょ?
「……悲しい」
あいつ、どんな男が好みなんだろ……。
悶々と考える。
顔が良い? 男らしい方がいい? 強いやつとか? 優しいってのもある?
自分より良い男なんて、そこらじゅうにいっぱいいる。もしも、気が合うやつが居たら。一目惚れする可能性だってある。
——冴えないやつ。
ルナが、再会した時ルシアンへ言った言葉だ。
「……冴えない…………か」
本当、眼中になかったんだと思うと心底辛い。胸が痛くて、仕方がない——。
「はぁ…………」
特大のため息と共に、ルシアンはベッドへ身を投げた。




