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魔女の戯れ  作者: 42
Let's 昇級試験
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41/55

【6】

 粛々と、「残念だったな、また来年頑張ろうぜ」会の準備が行われていた。

 肩を落とし、それは申し訳なさそうな顔をして帰宅するであろう仲間へ、せめても美味しい料理で労おうという魔女の計らい。

 いつもの夕食より、少し豪華に。

 お酒と、デザートにはチョコレートケーキも用意した。

 お酒を飲みながらさめざめと嘆くルシアンの姿を想像する。

 折角教えてもらったのに、ごめん。

 なんて言いながら、しょぼくれるに違いない。

「そういや、ローズん時もあの二人が試験官?」

 洗い物をしながらふっと問いかける。

「馬鹿言わないでよ。——無理って言い出したんですって。それで試験官を辞退。だから別の人だったのよ」

 うわーめちゃくちゃ私情じゃん。

「ぶれないんだわ……」

「お陰で、難なく合格よ」

「あーあ。目の敵にされてなきゃ良いんだけど」

 弩級の嫉妬で双子の容赦ない攻撃を、ルシアンが耐えられるはずがないと、ルナは思った。

「さぁ、どうかしらね。流石に一線を画すとは思うけれど……」

 今までの行動を鑑みて、二人は口を閉ざす。

 ——生きて帰って来れるかしら?

 ——生きて帰って来れないんだわ

 同時に脳内で呟く。

 

 準備万端で席に着く二人。時計の針は夜九時を回る。

 遅い。

 いくらのなんでも遅い。

 本格的に、再起不能で治療に時間がかかっているとしか思えない状況に、不安が募る。「ちょっと——」

 連絡してみる。と言いかけた途中で、その声は聞こえた。

「帰ってきたみたいね」

 ルナは頷く。

「ただいま……帰りました……」

 疲労困憊の姿。だが、たいした怪我はない。

「——遅いんだわ」

「それで、どうだったの?」

 席に着く間も無く、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。「え? あ、うん……」

「勿体ぶらないでよ」

「心配しなくても、準備は出来ているんだわ」

 急かされ、ルシアンはおずおずと答える。

「それが……なんか、受かっちゃって……」 ローズとルナは顔を見合わせる。

「嘘でしょ!」

「ゴリラに勝ったんか?」

 驚きの声をあげる。

「いや、俺も正直……なんで受かったか分かんなくて……最後、結局押し負けちゃったし……」

 首を傾げる。

「ほら、免許証出しな」ルナは促す。

「はい……」

 更新された免許証には、確かにランクⅣとの記。

「まじか——」

 免許証とルシアンを交互に見る。

「ねぇ、ルナ——」

「何?」

 ローズに肩を叩かれ、ルナは示された方を見る。

 そこには、一回り大きくなったモモコの姿があった。

「尻尾増えてるんだわ!」

 そこで、あらかた何が起きたかを理解した。

「ちょ、人型になってみてほしんだわ」

 ルナの要望に応えた。

「うぉ、確かにデカくなってるな——胸が」

 にっこりとモモコは微笑む。

「ほーん、進化かぁ」

「なんか、気づいた時にはそうなってて……」

「試験中?」

「……うん」

「——そっか。ま、良かったじゃん。合格して。絶対無理だと思って残念会しようと思ってたけど、合格祝いに変更なんだわ。さ、座った座った」

 背中を押され、ルシアンは席に着いた。

 

「それじゃ、乾杯!」

 お酒が体に染み渡っていくのを感じながら——。

 時間が過ぎ、酔いが回る。ルシアンは据わった目でいかに今日の試験が大変だったかを吐き出していた。特に、双子の片割れからの試験がどれほどの恐ろしかったかを。それから、免許更新後にも執拗に最近のローズの状況を根掘り葉掘り問いただされたこと。その状況を一期一句書き留めていた二人に恐怖を覚えたこと。いかに自分たちが甘んじて同居を許しているかを、永遠説明されたこと云々。

 辛さの九割が双子の話で、ものすごいトラウマを植え付けられたなと、ルナは酒を継ぎ足してあげた。ローズは、ルシアンの話を鬼の形相で聞いている。溝が深まった兄妹はさておき。祝いの宴は深夜まで続いた——。

  

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