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魔女の戯れ  作者: 42
コミックマルシェ
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34/55

【5】

 黄色い奇声とざわめき、波のように広がり色めく。

 突如として現れたそれに、言葉を失う者も少なくない。

 まるで、絵から抜けだしてきたかのよう。

 一人は、アーサー。

 金髪に緑の瞳。騎士の彼は、白銀の甲冑を身に着けている。

 もう一人は、アルトス。

 黒髪に赤い瞳。敵国の騎士の彼は、黒い甲冑を身につけている。

 魔法で本物の素材を加工した甲冑を纏う凛々しい姿は、普段より身についている本来の彼らを引き出す。

 何より、二人の独特の距離感と雰囲気は、同志の人達の心をかき乱す。

 プロデュースした側のローズでさえ、あまりの本物具合に、耐えきれず何度も部屋を退室したぐらいだ。

 遠くにいても、本物が居た! との噂が耳に入る。

 双子の効果は絶大で、古参のファン以外にも沢山の行列が出来、ミシェルの本は閉会を待たずに完売となった。

 本が完売した後も、彼らの周りには人だかりが出来、写真を撮らせてくださいの声が後を絶たない。

 アーサーが柔らかく微笑めば奇声が上がり、アルトスが剣を構えれば歓声が上がった。


「流石軍団長殿。普段通り」

 屋台で昼食を買い、飲食スペースからの感想。

「あの顔で実力があるとなれば、相当モテるんだろうなー」

 ルシアンは羨ましそうな声をあげる。

「そりゃモテるんだわ。バレンタインとか、とんでもない量のチョコ。でもなー残念ながら妹しか眼中にないんだわ。縁談とかも断ってるらしいよ」

 ルナは唐揚げを頬張る。

「そうなんだ。勿体無いきがするけど、そればかりは本人達の気持ち次第だもんなー」

「うんうん。妹萌えが治らない限り、厳しいだろうなー」

 いろんな事情があるんだな。

 と、ルシアンは思い、買ってきたハンバーガーを頬張る。

「それで、買ってきた? 本」

 話しかけられ、急いで飲み込む。

「あ、うん。一応」

「じゃ、食べたら交換するんだわ」

 ローズはまだあちこち回っている中、あまりの人の多さと熱気に疲れ果てたルナとルシアン。昼食後、事前に決めていた本の交換を行う。

 ルナから本を受け取ったルシアンは、その中身に赤面する。

「ほら、必要でしょ? ルシアン君のために、なるべく凄いのにしたんだわ」

 ほぼ全面肌色の薄い本を勢いよく閉じる。

「お、真っ赤」

 ルナは気にする事なく、ルシアンが選んだ本をめくる。

「ふむふむ。——ちなみに、これサンプルとか読んだりした?」

「え?」

 バッと、ルシアンの目の前にそのページを見せつける。

「あー‼︎」

 飛び込んできたのは、破廉恥な肌色の男女。

 そして再び赤面。汗も吹き出す。

「え、だってそれ、薬草の本——」

「だね。薬草の擬人化みたい。表紙に騙されたねー」

「う……ごめん。いや、その、そういうつもりじゃ」

「わかってるって。ルシアン君にそんな度胸ないもん。これとこれも全年齢だし。コメディタッチだもんね。あ、あたしのは全部そうゆうのだから。自室で読むのをおすすめするんだわ」

 悪戯に笑う。

 からかわれてる——。

 でも、ルナが楽しそうに笑う姿を見るのは、悪くない……。

 熱の引かない体を冷やすように、アイスコーヒーを喉に通す。

  

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