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魔女の戯れ  作者: 42
コミックマルシェ
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31/55

【2】

 その人は、ローズが神と崇める存在。

 そう。

 毎日、活動チェックをする程に。

「知り合いだった?」

 ルナの問いに、お互い目を合わせる。

「とんでもございません! わたくし如きが知り合いだなんて。恐れ多い!」

 力の入った声。

「……ふーん。ま、いっか。今回の依頼なんだけど、売り子がご親族のご不幸で急に来れなくなったらしいんだわ。今度のコミックマルシェ、だっけ? その時に一緒に販売して欲しいんだって。急すぎて、なかなか人見つからなかったらしいんだわ。引き受けるけど、良いよね?」

 なっ——。

 ローズに激震が走る。

 いけません‼︎ いけませんわ! そんな、神と一緒にだなんて——。あのテーブル一つの境界線を越えるだなんて、わたくしにはとても、とてもじゃないけど恐れ多すぎますわ! それに、それでは他の作品を買いに行けない——。

 嬉しさと悲しさと。

 気持ちが反復横跳びを続ける。

「ちなみに売り子は一人でいいらしいんだわ。でも条件が一個あって、コスプレ必須。誰だっけ——」

「あ、このアーサーというキャラクターなんですが……」

 そう言うと、一枚のイラストをテーブルに提示した。

 金髪に鮮やかな緑色の瞳。理想の王子姿のキャラクターだ。

「嘘でしょ‼︎」

 ローズは叫ぶ。

「ん? どしたん?」

「アーサーだなんて、超絶大人気キャラよ! コスプレする人は数多。ですが、身長や体格顔つきから、これぞ完璧と言えるアーサーになれる人はいないのよ。ハードルが高すぎるわ! ルナは性格が滲み出るから無理。ルシアンは華がないから無理ね」

「はは……自覚してるとはいえ、はっきりそう言われると……結構くる」

 空気のように黙って見ていたルシアンは、被弾し傷を負う。

「ま、性格悪いのは否定しないんだわ。それじゃ、ローズがやればいいんだわ。あたし達詳しくないからさ。キャラを熟知している人に任せた方が間違いないんだわ。いいのかい? あたし達がやって、解釈違いなんて起こしても」

「やめて! ぶっ飛ばすわよ」

 拳を作る。

「はい、決まりー」

「ちょっと待ってよ——困るわよ。本当に切実に困るのよ。その——わたくし。コミシェは毎年命をかけて参加しているのよ! 沢山買いたい本があるのよ! 先生のお役には勿論立ちたいわ! でも、でも——」

 ぐぬぬ——。眉間にこれでもかと皺を寄せる。

「本ならあたし達が買いに行けば問題ないんだわ」

「ルナ……」

「——あなた達、コミシェには行った事あるのかしら?」

「ない」

 ルナとルシアンは同時に答える。

「はぁ……」

 深いため息をつくローズ。

「いい? コミシェは戦場なの。軽い気持ちで行くと、怪我をするわよ」

 ローズの力説は二人に響かない。

 そんな大袈裟な。な雰囲気だ。

「くっ——こうなったら背に腹はかえられない」

 この手だけは使いたくなかったけれど。

「ミシェル先生、その。一つご提案してもいいかしら」

 床に膝をつき、頭を下げ進言する。  

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