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魔女の戯れ  作者: 42
深夜十二時の夢
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3/55

【3】

 普段通りに。三日目の夜、貴女に魔法をかけに参ります。

 そう告げた。

 私は、言われた通りに日常へ戻る。

 お父様の再婚相手である義理の母。そして、義理母の連れ子の姉二人。

 とても美しい姉達。

 それに比べて私は——。

 用事もなしに外に出ることも、部屋から無闇に出ることさへも禁じられた。

 ただただ毎日を自室で過ごす日々。

 おかげで裁縫や絵画だけは得意になった。台所には立たせてもらえないから、料理は不得意。洗濯もやらせてもらえない。

 どうしても時は、顔を隠さなきゃならない。姉達は、余程私が気に入らないのでしょう。いつも避けられる。

 本当は仲良くしたいのに……。

 一緒にお買い物に行ったり、お茶をしたり。姉ができると聞いてから、一人っ子の私は夢を膨らませた。

「はぁ……」

 いつだってため息が溢れる。

 舞踏会のお話も、直接聞いたわけじゃない。継母も私には伝えてくれなかった。

 姉達はとても嬉しそうにどんなドレスで行こうかしらとか、どんな髪飾りをつけようかしらとか。毎日そんなお話ばかり。

 私は、絶対家から出ては駄目と、念を押されているのに。

 私にだって、舞踏会に行く権利はある。

 だって、娘は全てってお達しだもの。

 確かに、姉達に比べれば私が選ばれる確率は低いけれど、それでも、雰囲気を味わうくらいは許して欲しい。

 ただ一夜の夢を——。


 約束の時間。

 空は藍色。眩うい数多の星と、満月で迎える夜。

 家には誰も残されていない。

 皆んな一足先に舞踏会へ出掛けてしまった。私にはドレスも、馬車も何もない。

 いつもの見窄らしい服で待つ。

「——やぁ。お待たせ。なんだわ」

 上から降る声に首を上げる。

 箒に乗った魔女が微笑う。

 以前見たローブ姿とは異なる黒服。

 まるで、軍人のようなロングコート。短い丈のズボンに長いブーツ。

「よっと」

 箒から降りて地面に着地する魔女達。

「戦闘準備開始と」

 ツインテールの魔女。ルナは腰から杖を引き抜き、呪文を唱える。

「ソーダシャワー」

 彼女がそう唱えると、目の前が淡い水色の世界になった。

 パチパチと何かが弾ける音。

 音が消え、再び宵の世界が広がった時。私はとても美しい水色のドレスを纏っていた。「——綺麗。魔法みたい」

「まぁ、魔法なんだわ。あたし、魔女ですから。はい、チェックチェック。ドレスよーし。ティアラよーし。髪型よーし。靴よーし。バッチグーですわ」

「後は乗り物ね」

 美しい金糸の髪を靡かせ、同じく腰から杖を引き抜き馬車を出す。

「準備完了ね」

「さてさて。では、エル。よくお聞き。この魔法は有限。時計の針が十二時を指すまでの間だけなんだわ。それまでなら、何をしてもオールオッケー。姉達とお話するもよし。王子と踊るもよし。悔いのない時間を過ごすんだわ。対価は後ほど徴収って事で。さぁ、行っておいで」


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