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魔女の戯れ  作者: 42
深夜十二時の夢
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2/55

【2】

 願い。

 そう問われると、言葉が詰まる。

 確かに、現状を変えたい。そう思ってはいるけれど……。

「いいかい? ここに辿り着いた時点で、願いはある。って事なんだわ。ほらほら、意地を張らずに話してごらんよ。魔女に秘密はおすすめしないよー。吐き出させる魔法だって、あたしゃ使えるんだよー。えへん」

「はい。自白強要罪で逮捕。あんたねぇ、そんなもの使ったら営業許可証を剥奪されるわよ! いい、わたくし達は白く正しく美しくをモットーにしているの。自らお話して頂かないと」

「ノンノン。モットーは、派手に楽しく逞しくですー。だって、モジモジモジモジしてるからさ、ちょっと手助けしようと思っただけなんだわ。本気じゃありませーん」

 喧嘩するほど仲がいいとは、こうゆう事なんだろう。羨ましいと思ってします。私達も、こんな風になる事ができたのだろうか——。

「実は——」

 これが、願いと呼べるものなのかは分からない。けれど、こうありたい。こうなりたかった。その思いを並べ立てた。

 二人の魔女は、ただただ静かに相槌を打ちながら聴いていた。

 私が思いを出し切るまで、ただ静かに。

「なるほどなるほど。これは難しい問題ですよ。ローズさん」

「え、えぇ……そのようね」

 急に二人の様子が変わる。先ほどの威勢が留守を決め込んだように。

「ふむふむふむ……」

「そうねぇ……」

「クロ」

「はい」

「一旦、お客様を別室へ。方針を考えます」

「かしこまりました」

「退屈させないようにしてほしんだわ」

「はい。仰せのままに」

 二人が退室した後、魔女達は方針計画を議案し始めた。

「なかなかっすね」

「そうね……。ちょっと一旦、視てみましょう。それから考えます」

 ローズは手鏡を取り出し、呪文を唱える。

「鏡よ鏡。——の者を映し出せ。クリスタルミラー」

 鏡は柔らかな光を放った後、その姿を映し出す。

「ほーん。めっさ可愛いじゃん。美だね、美」

「そうね。スタイル抜群だし、二人とも美人姉妹なのは頷ける。継母も美魔女ですし。尚のこと……」

「いや、これ、どーする? どう考えても、この人達の言った事、そーですね。状態なんだわ。ちょっと、確実じゃないけどさ、あの子の為に言った可能性が大な気がするんだわ」

「ま、まぁ……そうかもしれないけど……」

「あー駄目かも。こりゃ今回もハズレな感じするんだわ」

「ちょっと! 弱気な事言わないで!」

「だってー。三日じゃ、無理なんだわ。骨格から変えないといけないレベルよ? ましてや、王宮で舞踏会とか——絶句。はい、絶句です。王子様の嫁候補なら、こっちの姉妹で十分すぎるんだわ。もう、どこの御伽噺よまったく。無理だからね、本当。骨格からは、無理だからね!」

「しっ! 声が大きい! 静かに」

「ふっ。あたしとした事が。興奮しちまったじゃねーか。すまねぇ」

「こうゆうのはね、相手の事も調べなくてはいけないの。えーと。——王子ね」

 ローズは再び鏡に向かう。

「まずは、今までの舞踏会の様子と、お見合い候補の女性ね。あら、美人揃い。そうよね。一国の王子ですもの、これくらいは当然。へぇ……でも、余り興味なさそうね。ふーん。ふむふむ。ちょっ断り文句が——君は僕の女神様じゃない。ですって……ほら、泣いちゃった。罪深ね罪深。全く——これだけの美女が揃ってるのに、素っ気ないなんて……まさか」

「——し、醜女専とか?」

「有り得るわ。後は、生理的に受け付けないけど、幼い子が好みか——」

「おーう……そりゃ勘弁だわ。醜女なら、どうにかなりそうだけど、幼女は流石にお手上げだわさ」

「あとは、もう一つ。薔薇よ」

「へ? 薔薇?」

「そう。わたくしがこよなく愛する禁断の愛! 美青年&美青年よ!」

「あー……それ、薔薇って言うんだ。ローズだけに、薔薇が好きって笑」

「上手い事言っても褒美は出ません」

「要らないんだわ。なんなら、褒めてもない」

「とにかく。この場合——いけるわ」

「ん? いける?」

「そうよ。彼女の体格なら、いける!」

「——何が? え? 女の子だよ? ちょっと、いける意味が分からないんだわ」

「男装よ!」

「はい? 男装って、舞踏会だよ? 踊れないじゃん! 一緒に! 意味ないじゃん! それに、男性同士の結婚は出来ないんだわ」

「結婚は出来るわよ。彼女、女性だもの」

「いや、それはそうなんだけど……ややこしいじゃん。男装して実は女性でって」

「それは、そうだけど。じゃぁ、他に何か策があって?」

 ルナは冷めきった紅茶を口に運ぶ。

「ま、まぁ。王子の好み次第なんだわ。本当に薔薇ってやつだったとしたら、女性である彼女を選ぶ可能性は低いわけじゃん。男装なんて、見た目誤魔化してるだけなんだし。良くわかんないけどさ。もうさ、彼女が当たって砕くしかなくない? 王子を」

「王子砕けたら不味い所の話ではないわ。魔法庁で咎められます。処されます。わたくし達が。はい。それじゃ——」

 討論は混沌を極めた。

 あらゆる情報を元に、二人の魔女は知恵に知恵を絞ってその答えを捻り出した。

 

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