【6】
ベルズは焦る。
あんな小さい猫の使い魔のくせに、なんでこんな——。
「学がない。って——二回も言わせないでほしいんだわ。ちょっと魔法が使えるからって、過信しすぎなんだわ」
強い口調。
「ランクも知らないあんたが、その辺で得た安い知識で、魔法使い気取り。本当、全然笑えない。言っとくけど——逃す気はないから。精々、抵抗すればいいんだわ」
ルナは、あの日湖で披露した妖精を向ける。
たかが、火の妖精。
こんなもの蹴散らせばいいのに。
あの日も、そう思いながら見ていた。
魔法が使えない奴らは、大変だな。そう、思っていた。
だが——。
「っ——な——俺の炎が」
次元が違う。
火の妖精に、炎は全く効果がない。むしろ、放たれた炎を吸い、一気に吐き出し返してくる。
「どんな欲望とて、人を殺めて良い理由にはならないんだわ」
その言葉は、ベルズには届かない。
踊り、踊り、踊り狂う。
地の果てまでも追って来る妖精の相手をしているうちに、彼らが来ている事に気がつかなかつた。
「どんな塩梅かしら」
「こんな塩梅」
「あら。しっかりと足止め出来て偉いわね、あの妖精ちゃん達」
「当たり前。それで、連れて来てくれた?」
「勿論。ルシアンがちゃんと見ててくれたから場所もすぐ分かったわ」
ローズ達の後ろから、魔法局の白い制服。
「後は頼むんだわ」
「うむ。協力、感謝する」
「いいよ。ちょっと、派手にやっちゃったし」
穴の空いた砂漠に視線を移す。
「構いません。少々手荒でもとお願いしたのは私達ですから。今回の事は、国からもお達しがありましたので」
「そっ。はい、これ。本物の魔法のランプ」
「確かに」
遺物は、丁寧に木箱に仕舞い込まれ、厳重に鍵を施された。
こうして、魔法のランプを巡った騒動は幕を閉じる。
ベルズは魔法局に捕縛された。
後に、魔法剥奪の処分の上、諸々の罪でアムール国に引き渡された。
本物の魔法のランプは、魔法庁に寄贈され遺物として再び長い眠りについた。
今回の一件で、国は悪人を厳しく処罰した。それでも、湧いて出て来るのが悩みの種だという。
仕方ないんだわ。
人間の欲ってのは底知れないからね。
欲といえば、そうお金。
魔法のランプの謝礼金として、一億ゴールド提示されたけど、断った。多すぎるってね。一人百ゴールドで手を打ち、残りは遺族に渡してと言った。必要な人に渡らないのは、可笑しな話なんだわ。
追記
クロたんの愚弄、まじ許すまじ。
ルナは、行きよいよく走らせたペンを置く。
「クロたんは、あたしがあの姿でいさせてるだけだってーのー。もー」
一人の部屋に不満は漏れた。




