【3】
動きをみせたのは、アムール国に入る手前にある湖の付近を通りかかった時。
月夜に乗じて。
なんて、いたって平凡的。人目につかず、かつ湖なんて沈めてしまえばなんとやら。
道中は、極力人のいる所を通って来た甲斐もあり、仕掛けてくるならここだろうなと予想はしていた。
命を奪うき満々。
剣や弓といった武器を手に、ざっと二、三十人。その中には、何人か魔法使いも混ざっている。途中で雇ったのがみえみえ。
「あらま。囲まれちゃったわね」
「そうだねー」
魔法のランプ。
これほどに人を狂わせる、魔性。
「おーい。そこの魔法使いー。あたしはⅤ。ちなみにーこのパーティーにⅣ以下はいませーん。逃げるなら今だよー。手加減とかー出来ないからー早くー帰ったほうがー身のためだよー」
大声でルナは叫ぶ。
「え? 俺はまだ——」
「しっ」
ローズがルシアンを遮る。
これは、ルナなりの警告。
金で雇われたであろう魔法使い。賢い人なら、こんな詐欺まがいな仕事請け負わない。免許に傷がつく。
魔法使い達には、ルナの言う数字が何を意味しているのかすぐに理解出来た。
魔法を扱う者にとって、その数字はランクを表す。ランクは、免許証の色よりも重大。
魔力量や魔法技術、知識。その全てにおいて総合的に優れた順に五段階。ランクⅤはその最上位。ピラミッド式に、一般的な魔法使いはランクⅠから良くてⅢ。
ざわめき始める。
「——残念なんだわ」
弾け 騒げ 唄え
「レッドピクシー」
ルナの魔法は、小さな妖精を無数に作り出した。その一つ一つが炎で形取られ、生きているかのように、甲高い声を上げている。
炎を出す。なんて単純な魔法じゃない。
雇われ魔法使い達は、十分すぎる程の実力差を見せつけられ、その場から飛んで逃げ去る。
「さてさて。悪いけど、この子達はまだ騒ぎ足りないらしいんだわ。——相手、してくれるんだよね?」
ただの人間に、魔法を防ぐ術はなく。妖精達には剣も弓矢も効かず、ただただ追いかけ回される。満足した妖精は、前触れもなく弾け消えるも、その火力は凄まじく。湖に避難するも、水中まで追いかけてくる始末。
狂騒の夜は、魔女の圧勝で幕を閉じる。




