【2】
対価は、魔法のランプを寄贈する事。
本物だった場合、遺物として厳重に保管する義務が魔法庁には生じる。これも、こうして悪用されない為だ。
偽物だった場合、対価は不要とする。
男は、納得の上、危険な仕事を願い出た。悪には裁きをと。
願い事自体は簡潔。
だが、死人が出ている以上簡単な仕事ではないのは明らか。なりふり構わず襲ってくるに違いない。
問題は、いかに人を巻き込まずに進むかだ。麓の町を通るわけにはいかない。空を飛ぶにも、大の大人を連れての二人乗りは危険。そこで、裏道から草原を抜けて行くルートを選ぶ。
魔女はローブを脱ぎ捨て、黒いコートを羽織る。動きやすく、戦いやすい。
行き先は、アムール国。その魔法局。
サリア砂漠は、この国の管轄。その為、サリア砂漠の遺跡で発掘された物は、全てこの国の物。遺跡も多いゆえ、遺物にも詳しい。
一攫千金目当てや盗掘も多く、偽鑑定士も横行。悪党も数多生息している。よほど信用のある人物以外、貴重な出土品を見せるなど出来たもんじゃない。
こうした悪党が多い故、罰則も厳しいと聞く。
一度捕まれば最後——。
二度と日の目は見られない。
「さてと、準備オーケー?」
ルナは、一同を見渡す。
ベルズには、フード付きの黒いマントを羽織らせた。狙われにくくするためだ。
「それじゃ、行くよ。あたしとクロが先頭。次いでルシアンとモモコでベルズを挟んで。最後尾はローズとフランネルでよろしくなんだわ」
霧が晴れると、案の定、弓矢が飛んできた。攻撃は想定内。細道を抜けるまでは続いたものの、広い草原にでた頃には止んでいた。
助かった。
とは言い切れない状況。
明らかに人数が増え、いとも簡単に弓矢を弾いたともあれば、相手も考える筈。
魔法のランプを諦めないのなら、それなりの手を使ってくるに違いないと。
「——妨害がないとは言えないわね」
「そうなんだわ。あとは、入国許可が降りれば良いんだけど。まだ来ないんだわ。とりあえず、向かってる途中に来るかもしれないし。先を急ぐとするんだわ」




