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魔女の戯れ  作者: 42
漢気ハロウィン
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23/55

【5】

 第二試合。

 広場でハロウィンポーズ。

 昼時の広場は賑わっていた。既に仮装をした人も多く、紛れ込む事はできたものの、やはり目立つ。多くの怪物は、シックなモノトーン。それでも、喫茶店よりはマシだった。あちこちで、仮装で写真を撮る人が多かったからだ。どさくさに紛れることができ、この勝負も引き分けに終わる。

 ミハイルは内心焦っていた。

 まさか、これほど喰らいつくとは。

 喫茶店で一勝を得る算段だったが、なかなかに手強いな。全身エナメルは、かなり目立つ。この好奇な視線は耐え難いはずだが。

 化粧を施した顔からは、表情が読み取りづらい。

 次で勝たねば。

 決意を固め、最後の勝負に挑む。

 第三試合。

 十人の子供達からトリックオアトリートと言ってもらう。

 この勝負は夕方まで続いた。

 二人のモンスターの姿は、小さな子供には刺激が強すぎた。

 道ゆく子供達にアピールをするも、ことごとく恐れられる始末。

 誰の一人からも声をかけられない哀れなモンスターが二人。

 広場のベンチに腰をかけ、一人は空を。もう一人は地面に視線を向けている。

 もうすぐ、ハロウィンの夜が来る。

 徐々に人が増えてきたものの、脱力する二人のモンスターはそこから動けない。

 もう無理かも……。

 諦めかけていたその時。

 地面に視線を投げていたルシアンに、小さな靴が入り込む。

「トリックオアトリート」

 聞き覚えのある声は、はっきりと、そう告げた。

 勢いよく顔を上げると、あの時の少年が立つていた。

 小さな吸血鬼姿の少年は、太陽の花を一緒に取りに行った時の子だった。

「お兄さん?」

 化粧したままのルシアンに、少年は不安そうに首を傾げる。

「——あ、お菓子。はい」

「ありがとう。やっぱり、お兄さんだった。お顔が白かったから違う人かと思っちゃった。」

「どうして、ここに?」

「今日はハロウィンだから。お母さんに連れてきてもらったんだ。妹も一緒だよ」

「そっか。妹さん、元気になってよかったね」

「うん!」

 満面の笑みに、元気を取り戻す。

「——完敗だな」

 一部始終を隣で見ていたミハイルは呟く。

「家族と来ているのかい?」

 初対面の少年へ声をかける。

「はい!」

「それなら、このお菓子も持って行くといい。良いハロウィンを」

 ミハイルは自分の分のお菓子を全て差し出した。

 両手にたくさんのお菓子を抱え、ジョンは家族の元へ去っていく。

「君の勝ちだ——ルシアン君。男に二言はない。君を認めよう」

 ルナの選んだ衣装でハロウィン勝負三本戦。その勝敗が決まった時。時刻は十九時を回っていた。



「あー居た」

 ローブ姿のルナとローズは、哀れなモンスターを見つ声をかける。

「ちょっと、二人にも手伝って欲しいんだわ」

「手伝う?」

「そ。演出は、派手な方が盛り上がるんだわ。それに、ジョンに会っただろう? 折角だから、魔法使いらしい所、見てもらいなよ。パパもね」

 モンスターからの解放。

 二人はルナの指示通りに、魔法使いの姿へと戻る。

 

 ハロウィンの夜。

 空を旋回する魔女と魔法使いの姿に、人々は歓喜した。

 高く、低く、素早く。

 鳥のように、自由自在に飛び回る。

 片手を振ったり、逆さになったり。

 圧巻のパフォーマンス。

 箒の上に立ち、静かにゆっくり地に降り立つと、拍手が巻き起こる。

 毎年恒例とはいえ、やっぱり盛り上がる。演出を終えた後は、宴に加わる。

 広場には沢山のモンスター達。

 吸血鬼に魔女。狼男にミイラ男。

 辺りは、飾られたかぼちゃや、ランタン。うっすらとスモークがかかり、ひんやりとした空気を流す。

 不気味な音楽がどこからともなく流れ、宴はこの上なく盛り上がった。

 本物が混ざってても、気が付かないくらいには——。


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