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魔女の戯れ  作者: 42
漢気ハロウィン
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22/55

【4】

 男同士の三番勝負。

 その一。喫茶店で一時間過ごす。

 その二。広場でハロウィンポーズ。

 その三。十人の子供達から、トリックオアトリートと言ってもらう。

 一見すると簡単にも思える内容も、ルナ特製のハロウィン衣装に着替えた彼等には、拷問に近い。

 まずは、ルシアン。

 コンセプトは、吸血鬼。

 全身赤のエナメルスーツに、裾がボロボロに引き裂かれた黒い光沢のあるマント。顔は真っ白に塗られ、目周りには黒い蝙蝠をペイントされる。ポイントは、ベルトがわりの十字架がたくさんついたチェーン。

 続いて、ミハイル。

 ルナは父親といえど容赦はしない。

 コンセプトは、狼男。

 全身グリーンの毛。袖の破られた紫色のビロードのベスト。下半身には、オレンジ色のかぼちゃパンツ。狼の鼻と耳のついたグリーンの帽子を装着。全顔緑に塗ったあと、眉太く濃く。そしてチャームポイントとして髭を描かれる。

 全身にデバフを食らった彼等を、ローズは咽せる程に笑っている。

「昨日いきなり、ハロウィン用の衣装を作れって無茶振りしたんだから。文句は一切受け付けないんだわ」

 全身を映す鏡には、とんでもない姿の自分が映される。

「流石ルナ。ハロウィンらしい衣装だ。ありがとう。お礼は後でも良いかな?」

「いつでもー」

 なんて余裕。やっぱこの人すげー……。

「それじゃ、ルシアン君。お菓子を配りに行こうか」

「あ、はい……」

 提案した側のミハイルは、大人の余裕を演じた。

 珍妙な服装の二人を見送った後、涙目をこすりながらローズは言い放つ。

「あれじゃ、子供逃げちゃうわよ。ある意味本物のモンスター」

「ハロウィンだから、大丈夫でしょ。あれくらいの仮装なら、皆やってるんだわ」

「——そうゆうことにしとくわ」

 いつもの事ながら、ぶっ飛んだセンスを披露するルナの言葉を軽く受け流す。

 

 町に到着するまでの間。男性陣に会話は存在しなかった。

 こうなることは、想像に難くなかったのに。いざとなると、多少の後悔が胸に残る。

「ルシアン君。勝負の内容は覚えているね?」

「はい……」

「そろそろ始めよう」

 奇抜なモンスターは、道ゆく人の視線を集中的に集めた。その中で、試合は開始する。

 第一試合。

 喫茶店で一時間。その前に退店すれば、敗者となる。

 一軒の喫茶店。そのカフェテラス。それぞれ背を向ける形で席に座る。

 時間の過ごし方は自由。

 飲み物を注文するも、こう視線が集まると、喉を通さない。カップの持ち方、唇の付け方、飲み方。姿勢や視線。その仕草の全てに神経を使う。

 体感三十分が実際は十分しか経っていない事実。

 こんなにも、時間が遅く感じるなんて。

 白く塗られた顔は、うまく赤面を隠した。

 耐えに耐えて、勝負は引き分けに終わる。

 やっとの思いで喫茶店を後にした頃には、全身から変な汗が出ていた。

「やるじゃないか。では、次は広場へ行こう」

 ルシアンには、余裕があるように映った。

 

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