【4】
早朝。
大きな隈を作ったルシアンは大きなあくびをする。
こんな雑魚寝で寝れるほど、俺は出来ていない。
いつもは違う部屋だから、まだ。まだ何とか耐えられている。
けど、こんな。こんな——同じ空間に。しかも寝返りまで分かる距離は——無理!
一人外で朝食を作る彼の姿に、クロは声をかける。
「お手伝いしますよ」
「あ、ありがとう」
「——眠れませんでしたか?」
「え、あ、うん。でも、大丈夫。元気だよ」
「すみません。ルナ様は、少々奔放なもので。ローズ様は、幼少期からの友達ですからよくご理解いただいてますが。どうかご容赦を」
「だ、大丈夫です。そのうち、慣れると、思います。多分」
「——頑張ってください」
クロは密やかに応援の言葉を送る。
その後は朝食を済ませ、テントを片付け、山頂を目指す。
二日目だ。
何とか登りきらないと、太陽の花を探せない。
ジョンを気遣いながら、時折休憩を挟みながら細道を進んだ。
小さな体で、ジョンは本当によく頑張った。大人でも音を上げる山道を、必死で喰らいつく。
岩肌が見える所まで到着し、ここで休憩をしようと提案するも、ジョンは探さないといけないからと断った。
意地を見せる少年に、大人達は彼をサポートしながら山頂まで一気に登った。
太陽は沈み、月の雫へと変わった花を、必死に探す。
発光している。
それを手掛かりに、岩肌を懸命に見て回るも、花はどこにも見つからない。
「……っ」
ジョンは涙を手で拭い、負けそうな自分と戦いながら、両手が傷つきながらも探し続けた。
「——いい根性なんだわ」
その姿を後ろから見ていたルナはそう呟く。それから、一人ふらりと姿を消し、岩場の陰にて魔法を使う。
「さて。たまには魔女らしくいきますか」
杖を取り出し、岩と岩の隙間に向ける。
——歌え大地。芽吹け命。太陽の祝福を。
「スパークルブルーム」
ルナの魔法で、何もない岩肌から、突如光輝く花が生まれた。その花びらは、太陽のような形をしている。
「前の種が残ってて良かったんだわ。おーい少年! こっちへおいで!」
ルナは少年を呼びつける。
その花を見た瞬間、嬉しさが込み上げた。ジョンは堰き止めていた感情が一気に流れ、人目を気にせず泣き始めた。
「まだ、収穫しちゃだめ。太陽が登ってからなんだわ。オーケー?」
今は月の雫。猛毒だ。
そう。猛毒。故に——。
「ちょっと待った! その月の雫は私達が貰い受ける」
突如響いた、ちょっと待ったコール。
乱入者が現れたことにより、花の争奪戦が突如幕を開ける。




