【3】
人の手が加えられていない割には、道がある事に驚く。
「えーっと。前に来た道残ってるかなー」
以前にも来た事がある口ぶり。
「あっちじゃなかったかしら」
「あーそうそう。そんな気がするんだわ。それじゃ、付いてきてー」
ルナは先頭に立ち、道案内をする。
目の前の開けた道から遠ざかり、右へ迂回する。何の目印もない草むらの前で立ち止まり、あたりを見回してから草むらをかき分けて入っていく。
伸び放題の草は体に纏わりつき、小さな体のジョンは完全に埋もれている。
ジョンとしっかりと手を繋ぎながら、ルシアンはルナの後を追う。
しばらく草むらを歩くと、少しだけ開けた場所にでる。
周りは木々に囲まれ、その合間に人が一人歩ける程度の小さな小道が見えた。
「ここから行くのか?」
「正解。でも、今から歩いても途中で夜になるからね、今日はここにで野宿。ちょっと狭いけど我慢我慢。月の雫に変わってしまっては意味がないんだわ」
「月の雫?」
「学校で習っただろー。太陽の花は太陽の下では病を治す万能薬。月の下では死を呼ぶ薬。別名月の雫になるって。つまり、収穫する時間を間違えると取り返しのつかない事になるんだわ。見つけやすいのは夜なんだけどね。あの花発光してるから。昼間は見つけづらいんだわ。それに、よくない事に、月の雫を悪用する連中もいるから、日に当たる前に刈られちゃう事もある。太陽の花が入手困難な理由はまーこんなところ。元々少ないのにさらには争奪戦。——その辺は覚悟しといて欲しいんだわ」
不安を煽る。
要は、取り合いになったら戦わないといけないから、覚悟しとけよ。と遠回しの忠告。
この動きやすい服装はその為かと、この時初めてルシアンは理解した。
「それはそれとして。ほら、暗くなる前にテント張るわよ。男子、手伝いなさい」
テキパキと慣れた手つきで野営を組み始めるローズの指示で、ルシアン達は寝床を組み立てていく。
寝所の次は、簡易の風呂場。その次は夕食のカレー作り。
食後は、明日のためにと早々に床についた。
見張りとして、獣達は夜通し交代で主人達を守った。




