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5話:月面大演習!目標は乃木大将!

月の都「ムーン・パレス」の裏手に広がる広大なクレーター地帯。

そこが今回の演習場だった。


「良いか。戦とは、単なる数の算術ではない。気魄と、地形と、機動の三位一体。それを今から貴公らに教え込む」


乃木は、わずか百人の新兵(それも、まだ腰が引けている志願兵たち)を背に、堂々と仁王立ちした。対するは、最強を自負するイヂーチ率いる「月面白襷決死隊」一千。


「閣下、手加減はいたしません! この演習で、私が閣下をお守りするに相応しい盾であることを証明してみせます!」


イヂーチの長い耳が、闘志でピンと直立する。彼女は月の都でも屈指の名家・イヂーチ家の令嬢。幼い頃からかぐや姫の遊び相手であり、誰よりも姫を愛していた。だが、反乱軍の襲撃の際、科学兵器が沈黙し、姫を守れず逃げ出すしかなかった自分を、彼女は今も深く恥じていたのだ。


演習開始の号令と共に、イヂーチは一千の兵を扇状に展開した。


「数は力です。閣下を包囲し、一気に白兵戦で制圧します!」


だが、乃木は動かない。

決死隊が包囲網を縮め、まさに突撃に移ろうとしたその瞬間だった。


「今だ! 地を蹴れッ!」


乃木の号令一下、百人の新兵が『一斉ではなく、バラバラの方角』に跳躍した。


低重力の月面では、一度の跳躍で滞空時間が生まれる。イヂーチの兵たちは、どこを狙えばいいか一瞬の迷いが生じた。その「一秒の空白」を、乃木は見逃さない。


「敵の指揮系統を分断せよ!」


乃木は自ら先頭に立ち、包囲網の最も「薄い」一点に、百人の全火力を集中させた。十倍の敵に包囲されているはずが、その接点においては、乃木軍が数的優位を作り出していた。これこそ、各個撃破の真髄である。


「くっ……総員、再編制! 散らばるな、集まれ!」


焦るイヂーチ。だが、集まれば集まるほど、乃木が塹壕に仕掛けていた「月面粘着餅(エネルギー拘束トラップ)」の餌食となる。


「イヂーチ副官! 貴公の目はどこについている! 姫君を守る盾になりたいのであれば、足元ではなく、戦場全体の『呼吸』を読め!」


乃木の叱咤が、通信機を通さず、月面を伝わる振動として彼女の耳に届く。

イヂーチは、乃木の瞳を見た。そこには、慈愛と、それを上回るほどの峻厳な「戦鬼」の姿があった。


彼女は気づく。自分は「姫を守る」と言いながら、実は「自分が強くなること」ばかりに固執していたのではないか。



演習は、乃木軍による「イヂーチ本陣への電撃的な背後強襲」によって幕を閉じた。


一千の兵を翻弄し、乃木の木刀がイヂーチの首筋にピタリと止まる。


「……負け、ました。私が、未熟でした」


膝をつくイヂーチ。その瞳から涙がこぼれ、レゴリスを濡らす。


乃木は木刀を収め、彼女に手を差し伸べた。


「イヂーチよ。貴公は強い。だが、その強さを『誇り』にするな。『使命』にせよ。名家の娘としてではなく、月の民の命を背負う一人の武人として立て」

イヂーチはその温かい手を握りしめ、顔を上げた。


「閣下……。私、一生あなたについていきます。そして、いつか必ず、あなたのような『本当の強さ』を手に入れてみせます」


この演習を経て、月の都の兵士たちは「数」という迷信を捨てた。


彼女たちは、乃木という一人の漢から、戦うための「魂」を完全に受け継いだのである。

登場兵器紹介

月の都編


・バニー達の持つ主力光線銃

小銃型と拳銃型があり、小銃型にはニンジンを模した銃剣が装着可能でウサギ怪人を倒すには十分な威力。

拳銃型は拳銃にしては大柄で重い割には出力も低く、牽制にしても急所などに当たらないと、ウサギ怪人達の硬質の皮膚を貫通する事は出来ない。


・ニンジン型銃剣

ニンジンみたいな色に配色された銃剣

光線小銃に装着出来る。刺突力を舐めてはいけない。ウサギ怪人の皮膚を容易く貫く程には硬質。


・餅爆弾

餅の形の手投げ弾

月の都で使われるエネルギー触媒の熱量を転換した物で周囲を爆風と熱で加害する兵器。温めると粘着質になる性質がある。

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