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第3クール☆ 第5話:君へのイリュージョン♡


よく晴れた休日、庭先で、みんなでバレーボールをすることになった。


「よーし、僕たちのチームの勝ちだよ!」


あけびが、意気揚々とネットの前で構える。


「負けないわよ!」


エナガも、対抗心むき出しで構える。


チーム分けは、あけび・エナガ・ようたの組と、チア・きあ・スターの組に分かれていた。


「――行くぞ!」


チアの鋭いサーブが、コートを切り裂く。



---


試合は、思いのほか白熱していた。


「はいっ!」


きあが、軽やかにボールを繋ぐ。


「ナイス、きあ!」


チアが、それを受けて、力強くアタックを叩き込む。


「くっ……!」


あけびが、なんとか拾い返す。



---


しばらく、拮抗した試合が続いていた。だが、その均衡が崩れたのは、何気ない一瞬だった。


きあが、相手コートから返ってきたボールを見て、思わず、心の中で叫んだ。


(あ、チアさん、あのボール取れそう!)


その瞬間、彼女は気づかなかった――自分の中の力が、無意識に、静かに発動していたことに。


「――チアさん、いけます!」


「――ああ!」


チアが、力強く踏み込む。ボールに向かって、まっすぐ、迷いなく。


だが、その視界に映っていたのは――もう、ただのボールではなかった。


宙を舞う球体が、一瞬、その輪郭を変え――柔らかく微笑む、師匠の顔になった。


「――師匠様……!!」


チアの目が、恍惚とした光を帯びる。


「え……?」


近くにいたスターが、怪訝な顔をした。


だが、チアは止まらなかった。


「行きます、師匠様――!」


チアは、まるで愛おしいものに触れるように、両手を大きく広げ――


――ゴッ。


ボールが、そのまま、チアの顔面に、思いきり直撃した。


「――ぶべっ!!」


「「「――!!」」」


コート中に、悲鳴とも笑い声ともつかない声が響いた。



---


「な、なな、なにが……!」


顔を押さえて悶絶するチアの前で、きあが、目を丸くしていた。


「え……? え、なんで、チアさん、"師匠様"って……?」


「……お前、今、なんかしただろ」


スターが、じとっとした目で、きあを見る。


「へ? わたし、何もして……」


言いかけて、きあは、はっと気づいた。


「あ……もしかして、これ、わたしの……」



---


その日の夕方、事情を聞いたエナガとあけびは、涙を流しながら笑い転げていた。


「ぶふっ……! チア、ボールに向かって"師匠様"って言った、って、マジ……!?」


「僕、笑いすぎてお腹痛い……!」


「うるさい、うるさい! 忘れろ!」


顔を真っ赤にしたチアが、必死に叫ぶ。


きあは、まだ状況が飲み込めていない様子で、首をかしげていた。


「……えっと、わたしの力って、もしかして」


「――相手が一番見たいものを、見せる力、だな」


スターが、あっさりと種明かしをした。


「な……!」


きあの顔が、一気に赤くなる。


「じゃ、じゃあ、わたし、チアさんの――」


「言うな。誰も、それ以上言うな」


チアが、真顔で、両手で顔を覆った。



---


「――でも、すごい力じゃない、それ」


エナガが、笑いながらも、感心したように言う。


「戦闘で使えば、相手の意識を一瞬で逸らせるってことでしょ」


「え、あ、そうかも……!」


きあの目が、きらりと輝いた。


「わたし、意外とすごい力持ってたんだ!」


「まあ、使い所には、気をつけろよ」


スターが、苦笑しながら言う。


その隣で、チアは、まだ、赤面したまま、小さく蹲っていた。


賑やかな笑い声が、夕暮れの庭に、いつまでも響いていた。

ノシ♡

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