☆第3クール ☆第1話:始まりの村へ
最終クールだあ!
魔王討伐から、しばらくが経っていた。
日々は少しずつ、いつもの賑やかさを取り戻しつつあった。だが、ある朝、師匠が、いつになく静かな声で切り出した。
「――ちょっと、付き合ってくれるか」
食卓を囲んでいた三人が、顔を上げる。
「どうしたの、急に」
「行きたいところがあるんだ。……お前らと一緒に」
師匠の目には、これまで見たことのない、静かな覚悟のようなものが宿っていた。
「弟子たちは、置いていく。今日は、私たちだけで行きたい」
その言葉の重さに、あけびもチアも、それ以上、詳しくは聞かなかった。ただ、黙って頷いた。
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荒野を、四人は無言のまま歩いていた。
やがて見えてきたのは、見渡す限り、灰色の大地が広がる、荒涼とした場所だった。
「……ここは」
エナガが、小さく呟く。
「――村の跡地だ」
師匠が、静かに答えた。
「私が、生まれ育った場所」
風が、乾いた音を立てて吹き抜けていく。かつて、家々が立ち並んでいたであろう場所には、今はもう、何も残っていなかった。ただ、灰のような、白っぽい土が、一面に広がっているだけだった。
「……」
チアが、静かに周囲を見渡す。あけびも、言葉を失ったまま、その光景を見つめていた。
師匠は、ゆっくりと歩みを進め、村の中心だったであろう場所で、足を止めた。
「――ただいま」
誰に向けてか分からない、小さな呟き。
「……色々、あったよ。あれから」
師匠は、その場に膝をつき、乾いた土に、そっと手を触れた。
「弟子ができた。……いい弟子だ。手のかかる奴らばかりだけどな」
その声には、いつもの緩さと、それでも隠しきれない、深い哀しみが同居していた。
「……エナガのこと、覚えてるか。あの子が、ここに繋がってるなんて、当時は思ってもみなかったよ」
土に触れたまま、師匠はしばらく、何も言わなかった。
エナガが、静かに師匠の隣に、膝をついた。
「……師匠」
「……なんだ」
「ここが、あんたの故郷なんだね」
「ああ」
「……綺麗な場所だったんでしょうね。今は、こんなだけど」
「――ああ。すごく、綺麗だった」
師匠の声が、わずかに震える。
「花が、いっぱい咲いてた。子供たちは、いつも泥だらけで走り回ってた。……くだらないことで、よく笑ってたよ」
あけびとチアも、少し離れた場所で、静かにその光景を見守っていた。
「……ここに、あんたの大事な人たちが、いたんだね」
「ああ」
師匠は、立ち上がり、ゆっくりと、荒野を見渡した。
「みんな、ここにいた。……今は、もう、誰もいないけどな」
風が、また、乾いた音を立てて吹き抜けていく。師匠の帽子のリボンが、静かに揺れた。
「――そろそろ、帰るか」
師匠は、いつもの緩い調子に戻ろうとするように、そう言った。だが、その目には、まだ、消えきらない哀しみが残っていた。
「……師匠」
「なんだ」
「また、来てもいい? ここに」
「……ああ」
師匠は、少しだけ、微笑んだ。
「いつでも、来ればいい。……ここは、もう寂しい場所じゃない。お前らが、一緒に来てくれるなら」
四人は、しばらく、そこに佇んでいた。誰も、何も言わなかった。ただ、風の音だけが、静かに、荒野に響いていた。
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帰り道、あけびが、ぽつりと呟いた。
「……いつか、また来ようね。みんなで」
「そうね」
エナガが、静かに頷いた。
チアも、無言のまま、頷いていた。
夕暮れの空の下、四人は、来た道を、ゆっくりと歩いて戻っていった。
まだ、この場所には、果たすべき約束が、一つ残っていることを、誰も、まだ知らないまま。
ノシ




