番外編 あけび特製?ほたてのバスケット
「今日は、ほたてのおつまみバスケット作るよ!」
あけびが、腕まくりをしながら、台所に立つ。
「手伝います!」
真っ先に手を挙げたのは、ファードだった。
「僕も、少しなら……」
ようたも、おずおずと前に出る。
「わたしも味見する!」
きあが、期待に満ちた目でテーブルに座る。
「まあ、暇だし」
スターも、興味なさそうな顔をしながら、袖をまくった。
「よーし、じゃあ役割分担しよっか」
あけびが、材料を並べながら説明を始める。
「ファードは、ほたてを軽く炙るのお願い! 加減、教えるから」
「はい!」
「ようたは、器用だから、パイ生地でバスケットの形作るの、お願いできる?」
「が、頑張ります……!」
「きあは……味見担当ってことで」
「やった!」
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台所は、すぐに賑やかになった。
「あけびさん、これくらいの焼き加減で……」
「あ、いい感じ! 表面カリッとして、中はふわっと、が理想だから」
「難しいです……!」
ファードが、フライパンと睨めっこしながら、真剣な顔で炙っていく。
隣では、ようたが、小さなパイ生地を、器用な手つきでカゴの形に整えていた。
「わ、ようた上手!」
「え、あ、ありがとう、ございます……」
褒められて、ようたの頬が、ほんのり赤くなる。
「そうそう、こういうの得意なんだよね、あんた」
いつのまにか覗き込んでいたエナガが、感心したように頷いた。
「不器用じゃなくて、ちゃんと、繊細な作業向いてるってことよ」
「……そう、なんですかね」
「そうよ。自信持ちなさいよ」
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一方、テーブルでは、きあが、完成したバスケットを次々とつまんでいた。
「あーん!」
「まだ焼き上がってないやつ、食べないの!」
あけびが慌てて止める。
「えー、味見だもん!」
「味見にしても限度あるでしょ!」
きあは、口をとがらせながらも、渋々手を止めた。
「スター、そっちどう?」
「ん? まあ、悪くない」
スターは、細かく刻んだハーブを手際よく散らしながら、涼しい顔で仕上げをしていた。
「意外と手先器用ね」
「意外は余計だ」
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しばらくして、湯気の立つバスケットが、テーブルいっぱいに並んだ。
サクサクのパイ生地の中に、炙られたほたてと、香ばしいバターの香りが立ち上っている。
「――完成!」
あけびの声に、みんなが集まってくる。
「いただきまーす!」
一斉に手を伸ばし、頬張る。
「うまっ!」
「ほたて、甘い……!」
「意外と、いい仕事したな、俺たち」
「わたしの味見が完璧だったからだよ!」
「いや、あんたほとんど手伝ってないでしょ」
そんな軽口を叩き合いながら、賑やかな声が、台所いっぱいに響いていた。
窓の外では、夕暮れの光が、静かに差し込んでいる。
まだ本調子には戻りきっていないファードも、みんなの輪の中で、疲れも忘れたように、楽しそうに笑っていた。
「――みんなで作ったご飯、やっぱり一番美味しいね」
あけびが、そう言って、満足げに笑った。




